自然派ワインの造り手
「レ・カプリアード」

2017年6月29日
自然派ワインの造り手 「レ・カプリアード」

真面目な性格なパスカル・ポテールと陽気なモーズ・ガドゥッシュがタッグを組んで造るこだわりの発泡性ワイン!

地理

ロワールの古城で有名なシュノンソー城に程近いモントリシャーという町付近にパスカル・ポテールのドメーヌがある。総面積2.4haのドメーヌの畑はテゼ、プィエ、アンジェ、ファヴロル等、シェール川周辺の4つコミューンにあり、その他、ネゴシアンの畑5.6haがサンジュリアン、サンジョルジュ、マレイユと半径10km内のドメーヌ周辺に点在する。気候は海洋性気候と大陸性気候のちょうど境目に位置し、年間を通して雨が少なく夏冬の寒暖の差が激しい大陸性の気候と、シェール川がもたらす複雑なミクロクリマが互いに影響し合う。

生産者

現在この蔵はパスカル・ポテール氏が2.5haの畑を1人で、そして5.6ha分のワインの醸造をモーズ・ガドゥッシュ氏と2人で管理している。彼らの所有するブドウ品種は、シャルドネ、シュナン、ムニュピノ、ガメイ、コーの5種類がドメーヌ、ネゴシアンを合わせるとソービニヨンブラン、カベルネフランと合計7つの品種でワインをつくっている。仕事は基本的には分担制で、パスカルが栽培から醸造まで全責任を負い、モーズは醸造の手伝い、その他ワインのコマーシャル、会計、書類関係全てを担当する。彼は一切ワインの学校に通っておらず、ワインづくりの基本は全て実践と独学から習得している。教科書にとらわれない自由な発想を持ちながらも、基礎はしっかりと押さえている彼のワインスタイルは、繊細で地味ながらも味わいに独特な個性があることから、特にワイン生産者やカーヴィストなどその道のプロの評価が高い。ペティアン・ナチュレルに至っては、ティエリ・ピュズラやミッシェル・オジェをはじめ多くの大御所ヴィニョロンが、彼につくり方のアドバイスを請うほど定評があり完成度が高い。

歴史

パスカル・ポテールがワインづくりの世界に入る以前は、ル・マンにある大型惣菜雑貨屋のワイン売り担当とし働いていた。以前からワインづくりに興味を抱いていたパスカルは、1995年に惣菜雑貨屋を辞め、ジャニエールで当時ビニョロンで旧友でもあったニコラ・ルナールと一緒に畑を借りてドメーヌを立ち上げる。1997年の終りに畑所有者と折り合いがつかなくなった彼らは、翌年の1998年にヴヴレーに移り、当時ポニアトウスキー公爵が所有していたクロ・ボードアンの畑の醸造栽培責任者として迎え入れられる。2001年にニコラ・ルナールがクロ・ボードアンを辞めルメール・フルニエに移った翌年、パスカル・ポテールもドメーヌを去る。2002年から新井順子氏のドメーヌ・ボワルキャで醸造栽培責任者として働き、それと平行して彼自らも2003年から1.5 haの畑と醸造所を手に入れワインをつくり始める。2005年にボワルキャを退職後、正式にドメーヌ・レ・カプリアードを立ち上げる。2005年から季節労働者として毎年収穫等に参加したモーズ・ガドゥッシュが2010年本格的にドメーヌのメンバーに入る。そして、2011年9月、モーズ・ガドゥッシュと共に共同経営として、ドメーヌとネゴシアンも兼ね備えた新生レ・カプリアードを立ち上げ現在に至る。

こだわりのスパークリングワイン

BioWine_sub1 カプリアードの洞窟カーヴ内はボトルがきれいに高々と積み重ねられている。コレは片手間ではなく本気で泡をつくっているのが分かる。スティルワインに比べ作業工程が多く、瓶熟成、動瓶、ストックととにかく瓶で場所をとるため、カーヴ内はとにかく清潔で整理整頓されている!彼らのあの上品でエレガントなペティアンは、このような環境でなくては実現できない。


ヴァンナチュールの泡は、発酵途中のジュースをそのまま瓶詰めしたプリムールタイプ、熟成&デゴルジュマンをするタイプ、クレマンナチュレルのようにスティルワインを翌年のブドウジュースで瓶内二次発酵させるなど様々なタイプが存在する。パスカルは、熟成を経てデゴルジュマンをした、メトッド・アンセストラル方式のきれいなペティアン・ナチュレルにこだわる。彼はスティルワインの生産を止めて以来、泡を専門でつくっているが、興味深いことに、彼自身は感覚的には「泡」をつくっているというより、むしろ常に「ワイン」をつくっているという感覚とのこと。

BioWine_sub2 「良質なブドウをプレスし、発酵、熟成、瓶詰めする工程はスティルワインと変わらない。私がやっていることは、スティルワインの熟成の工程をただ瓶で行っているに過ぎない」と。またデゴルジュマンは、彼の中ではスティルワインで言う瓶詰前の澱引きと同じで、スティルワインで行う当たり前の作業を行っているという感覚でいるのだそうだ!とはいえ、「泡のあるワインの世界」に彼自身が魅了され、その品質を追及し、高めていきたいと考えており、具体的には、まずブドウ自体のバランス、そして生成される泡の質、酸の熟成等、スパークリングならではの要素に誰よりもこだわりを持っている。


ワイン

●メトード・アンセストラル ピエージュ・ア・フィーユ 白 2015(白泡)

BioWine_sub3 2015年は当たり年!ブドウが早くから熟したおかげで、中身のしっかりとあるワインに仕上がった!この年は、パスカルの畑のシュナンが入っていないため、相対的にムニュピノの割合が高くなっている。pHが2.58とかなり低く、酸は目が覚めるほどにシャープだが、当たり年のブドウの凝縮味と27g/Lの残糖、そしてシャンパーニュ並みの泡が絶妙なバランスを保っている!パスカル曰く、最近合わせた料理の中で、白身の肉をフルーツで和えた冷製サラダが肉の旨味とフルーツの存在を際立たせ非常に面白い組合わせだったとのこと!


●メトード・アンセストラル ピエージュ・ア・フィーユ ロゼ 2015(ロゼ泡)

BioWine_sub4 2015年は天候に恵まれ、収穫も例年より1週間ほど早かった!今回はカベルネフランの代わりにグロローが25%入っている!醸造中ワインの還元臭が強かったのでスーティラージュを6回と多めにかけている。残糖は16 g/Lあるが、5.2気圧と勢いのある泡、そしてpHの値が2.73と鋭く伸びのある酸が味わいをドライに仕立てる!アペリティフや前菜にもってこいの泡だ!


●メトード・アンセストラル ラ・ビュル・ルージュ 2015(赤泡)

BioWine_sub5 前年のBCFという名前でリリースしたが、「赤い泡」とイメージしづらいことから、「ラ・ビュル・ルージュ」とシンプルな名前に変更した!
前年は瓶内発酵に勢いがなく、出来上がったワインは微発泡で果実の甘さを感じるジュースのような味わいだったが、今回は十分な泡があり、ほのかに甘みがありながらもしっかりとワインの感じられる仕上がりとなっている!タンチュリエは発酵中に澱がたくさん出るので、瓶内二次発酵の前になんと10回もスーティラージュを施している!エレガントな泡立ちとルビーのような明るく輝きのある色合いはまさに職人のなせる業!カプリアードの確かな仕事が見えるペティアン・ナチュレルだ!


●メトード・アンセストラル ピノーズ 2015(ロゼ泡)

BioWine_sub6 ペパン・ラ・ビュル同様に「長期熟成に耐える辛口ペティアン」をコンセプトにつくられたロゼペティアン!2014年は発酵の勢いが足りず、微発泡で中甘口寄りのペティアンに仕上がったが、2015年は、マロラクティック発酵を経て、かつ残糖が21g/Lありながらも、味わいは、pH2.78と背筋のピンと伸びるようなまっすぐな酸があり、限りなくドライに仕上がっている!パスカル曰く、この安定した酸が熟成させることによって角が取れ、味わいにフィネスが出てくるとのこと!今飲むのはもちろん、長く寝かせてみるのも面白い♪


●メトード・アンセストラル ぺパン・ラ・ビュル 2013(白泡)

BioWine_sub7 パスカルの目指す「長期熟成に耐える辛口ペティアン・ナチュレル」を目指して造られた、カプリアードの最高峰キュヴェ!2013年はロワールのアイデンティティーにこだわり、ムニュピノとシュナンだけのアッサンブラージュでぺパンを表現した!(ちなみに、シュナンはパスカルのブドウだが、2014年に畑を所有者に返還したため、今回が自社畑の最後のシュナンとなる!)2013年は厳しいミレジムで、ブドウの糖度が低かったため、パスカルの求める十分な泡が得られなかった...。だが、パスカル曰く、泡たちが優しい分、石灰土壌からくるチョークのような繊細なミネラルの旨味が舌でしっかりと捉えることができるとのこと!


http://item.rakuten.co.jp/shinkawa/c/0000000502/

Profile

竹之内 一行(たけのうち かずゆき)

竹之内 一行 (たけのうち かずゆき)

1968年10月生まれ 神奈川県出身。横浜商業高校卒後、レストラン&バーでの修業、
1993年約3週間ヨーロッパへ食べ歩きの旅行をきっかけにワインに興味をもつ。
1996年日本ソムリエ協会ワインアドバイザー修得。その後も都内ワインスクールにてテイスティングの勉強を重ねる。2000年再度渡仏の際に教科書やワインスクールでは、知ることができなかった自然派ワインや地元でしか流通していない真のお宝ワインがあることに興味を持ちはじめ毎年渡仏し現地生産者等と交流を深める。現在、父親が始めた酒販店「エスポアしんかわ」代表。都内等ワイン飲食店にワインの卸や初心者のためのワイン講座等も行っている。

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