自然派ワインの造り手
「クロ・デ・ジャール」

2017年4月19日
自然派ワインの造り手 「クロ・デ・ジャール」

南フランスのラングドック地方ミネルヴォワ地区のコーヌ・ミネルヴォワ村にヴィヴァン・エメルズダエルという若手醸造家がいる。
1990年に、ヴィヴィアンの両親がミネルヴォワのブドウ畑を購入した。本業とは別に、両親は農協へブドウ販売を行っていた。彼らはワイン造りをしたことがなく、醸造設備も持っていなかった。2010年、ヴィヴィアンが両親の畑の一部を引き継ぎ、有機栽培へ移行した。また、家の納屋を改造して小さな醸造所を作った。初ヴィンテージが生まれ、醸造元ル・クロ・デ・ジャールの誕生となった。

BioWine_sub1 ヴィヴィアンは、ワイン学校を卒業後、アルザスのビオディナミ農法をやる醸造元で研修した。その後フランス中のビオ栽培家、自然派ワイン醸造家をまわって修業した。その後、全く違う世界も見たくてニュージーランドに渡った。ニュージーランドでは大手醸造企業でフランス醸造杜氏として働いた。ニュージランドでは、やってはいけない事を実地でやり、その結果どんなワインになるかを学んだ。つまり、最新の醸造技術、果汁濃縮装置の使用、香り付け人工酵母の使用、酸化防止剤の多用、修正用の補酸,補糖等。このときの経験が反面教師となり、ますます自然派ワインを造ろうという方向性に導かれた。
醸造はもちろん自生酵母のみで発酵、SO2も最小限に抑えた自然な造り。ヴィヴィアンは自分自身、濃厚過ぎるワインがあまり好きではない。最初から目指すワインは、飲みやすく喉をスーット通るスタイルのワイン。


BioWine_sub2 そんなスタイルのワインを造るには暑い!熱い!!南フランスでのブドウ栽培において葡萄に酸を残すことが課題だった。地中深いところには水分がある。そこまで根を伸ばす為には、地表に化学肥料をやらず、根っ子が自ら地中深くに伸びていくビオ栽培をすることが必要だった。そして、それでも葡萄の水分が少なくなることを避けるため、葡萄の房を少なくすること。厳しい剪定を実行。芽を一つずつしか残さない超短い剪定もしている。




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ビオ栽培を初めて7年目。葡萄の根っ子が地中深く伸びているのを実感している。乾燥した年でも葡萄のストレスが見られなくなった。地中深くから水分を補給できるようになっているのを感じる。水分と共にミネラル分も吸い上げられる。ミネラルが増すと透明感がでてくる。根っ子が地中深くから水分を吸い上げるお蔭で、葡萄実が酸を残しながら熟すようになった。ワインが、爽やかで心地よい果実味もありながらスゥーット体に入るようになってきた。

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BioWine_sub5 やっと、自分が目指すワインができてきた。
それと同時に、パリのビストロ、ワイン屋からも外国からも注文が入るようになった。
これからがもっと楽しみな醸造家ヴィヴィアン。彼を全面的に応援しているのが優しい両親。自分が持っていた最良の畑を息子のヴィヴィアンに提供したお父さん、お母さん。



ワイン

●エストランジェ 白

BioWine_sub6 石灰土壌から来る爽やかなミネラル感と共に、繊細で優雅な飲み口へと続く。すっきり辛口だが、厚みも十分に感じる。後味に残る、軽い苦みが特徴的。海の潮っぽさがあって魚介類にあう。勿論、赤ワインの中にも、潮っぽさ、昆布ダシ系の旨味が入っている。だから、出汁系の和食にも合わせやすい。ソーヴィニヨン・ブラン 100%


●アンスシアンス 赤

BioWine_sub7 カラドックというマルベック種とグルナッシュ種の交配品種とメルロを使用のワイン。 カラドックから来る厚み、タンニンの強さを感じる。口当たりは柔らかく飲みやすい赤ワイン。強烈な果実のアロマと、爽やかさ、軽やかさが魅力的。仲間が集まってワイワイ楽しく飲むのにピッタリ。


●アブランシス 赤

BioWine_sub8 複雑さを感じる赤ワイン。シラーの比率は低いが、多品種とのブレンド比率の良さが出て、豊かなタンニンを感じる。後味のキレが特徴的。赤い果実のアロマと、ガリッグ(野生の香草)やスパイスのアロマにより「テロワール」が表現されている。グルナッシュ、カリニャン、シラー使用。


●ユトピー 白

BioWine_sub9 色合い、味わいともしっかりとしていて非常に厚みを感じさせる白ワイン。カラフェに移すか、空気に触れさせるとワインが開く。白い花や桃などの複雑な香り。余韻も長く芳醇。味わいは上品で、繊細な酸味が心地良い。苦みと酸味のバランスも良好。グルナッシュ・ブラン、ルーサンヌ、ヴェルメンティーノ使用。


Profile

竹之内 一行(たけのうち かずゆき)

竹之内 一行 (たけのうち かずゆき)

1968年10月生まれ 神奈川県出身。横浜商業高校卒後、レストラン&バーでの修業、
1993年約3週間ヨーロッパへ食べ歩きの旅行をきっかけにワインに興味をもつ。
1996年日本ソムリエ協会ワインアドバイザー修得。その後も都内ワインスクールにてテイスティングの勉強を重ねる。2000年再度渡仏の際に教科書やワインスクールでは、知ることができなかった自然派ワインや地元でしか流通していない真のお宝ワインがあることに興味を持ちはじめ毎年渡仏し現地生産者等と交流を深める。現在、父親が始めた酒販店「エスポアしんかわ」代表。都内等ワイン飲食店にワインの卸や初心者のためのワイン講座等も行っている。

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