自然派ワインの造り手
パスカル・シモニュッティ

2015年5月26日
パスカル・シモニュッティ

自然が大好き!だからワインを選んだ! ワインは中身。AOCじゃない!VDTにかける男!

~ 人柄 ~
「ワインの基本的な味は自然の力で造られると言っていい。自然を身近で感じる手段として、ぶどう栽培はとても面白い。」よれよれのTシャツ姿でパスカル・シモニュッティ氏はワイン作りをするようになった理由をそう答える。
彼は、がっちりした躯体のどこかに自然体の雰囲気を漂わせる。料理とワインが大好きで、一度は料理の世界を選んだ。しかし田舎育ちの彼にとっては朝から晩まで調理場で働く毎日が息苦しく、太陽の日差しを浴びて自然を感じながら伸び伸びと体を動かす仕事がしたいと思うようになりワイン屋に転身し、この蔵を立ち上げた。
トゥールの近くにある地元の農業学校でぶどう栽培の基本を学んだ後、ロワールの自然派ワインの重鎮たちにアドヴァイスを受けるうちにアルザスのブルーノ・シュレールに出会って彼の目指すスタイルが決まった。

シュレール譲りのヴァン・ド・ターブルVDT(VDF)。そう!テーブルワイン!! シモニュッティ氏は、ブルーノ・シュレールが実践する「自然の力、テロワールの底力をとことん引き出すぶどう栽培」に一気に惹きこまれてしまった。ワインはとにかく味わい豊かなぶどうを育てること、あとはその旨みを最大限に引き出すことが欠かせないと訴える。ブルーノに惹かれたのは彼ら二人に共通する性格かもしれない。それは「アペラシオン」(原産地呼称制度)への無頓着さだ。シュレール氏が試飲検査で格下げされるのをそばで見てきたからか、シモニュッティ氏は「AOC試飲検査」には一切申告しない。そのため全アイテムが「ヴァン・ド・ターブル」(現在はヴァン・ド・フランス)である。そのせいか香りにそこはかとなくシュレールのようなみずみずしいピュアな部分を感じる。

パスカル・シモニュッティ 「ワインは中身なんだ!ヴァン・ド・ターブルのほうが気軽に飲めるのでは・・・」と意に介さない。「アペラシオン取得」にまったく興味がないというか、レッテルについてまったく迷いがない。毎年違う作柄を生かすように造れば当然ワインは違うものができるわけで、しなやかでエレガントな年もあれば、肉付きのいい年などそれぞれ違って当然。「これがベストだ」と信じるワインを目指して周りの目を気にすることもなく、型にはまらない「自由なワイン」「自然を表現するワイン」を造る。それはとてもなめらかでタッチが優しい。肩に力が入らないきれいなバランスのワインゆえ、また飲みたくなる「自然派の雰囲気」を醸している。ラベルは知人にか描いてもらったもので、「ぶどうがそのまま詰まった液体」。ワインによって緑や赤に色使いが異なるだけのストレートでオリジナルなデザイン。
「VIN DE FRANCE」と大きく書かれている他は必要最低限の内容が表示されただけ。ワインのように余分なものがそぎ落とされてピュアなラベルは印象に残る。


パスカル・シモニュッティ そしてもう一つ、セックス・ピストルズのアルバム「勝手にしやがれ」のパロディー。
パスカルはパンク・ロックの熱狂的ファンで、中でもセックス・ピストルズが大のお気に入り。彼らの唯一のオリジナル・アルバム「Never Mind the Bollox」(邦題「勝手にしやがれ」)を仏訳すると、「On s'en bas les couilles」となり、これがワイン名になっている。


パスカル・シモニュッティ ~ 畑 ~
畑仕事は人には任せられない「ビオロジック」
ワイン造りを始めたばかりで、4.2Haの区画は今のところ「賃貸」畑。穏やかな気候と、砂が多く水はけがよいこの辺りの土地は、ぶどう栽培に向いているのだ。また土壌には「シレックス=火打石」などが混ざってそれがワインにアクセントを加えてくれている。
栽培は「ビオロジック」に一部「ビオディナミ」を取り入れた農業を行い、手間と時間がかかっても除草剤などを使わないようにしている。「これじゃないと野生酵母は宿らないし、熟成方法も変わる」のだ。もうひとつの特徴は「セレクション・マサル」の株を使う点。ガメイは樹齢の古い株を切って接木したタイプで根の張りが深い。


パスカル・シモニュッティ ~ 醸造 ~
蔵のポイント
「ガメイやピノ・ノワールはしなやかな品種。マセラシオンを強くさせると良さが台無し。大自然の恵みとなる作柄にあった醸造をしている。」


Profile

竹之内 一行(たけのうち かずゆき)

竹之内 一行 (たけのうち かずゆき)

1968年10月生まれ 神奈川県出身。横浜商業高校卒後、レストラン&バーでの修業、
1993年約3週間ヨーロッパへ食べ歩きの旅行をきっかけにワインに興味をもつ。
1996年日本ソムリエ協会ワインアドバイザー修得。その後も都内ワインスクールにてテイスティングの勉強を重ねる。2000年再度渡仏の際に教科書やワインスクールでは、知ることができなかった自然派ワインや地元でしか流通していない真のお宝ワインがあることに興味を持ちはじめ毎年渡仏し現地生産者等と交流を深める。現在、父親が始めた酒販店「エスポアしんかわ」代表。都内等ワイン飲食店にワインの卸や初心者のためのワイン講座等も行っている。

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