こんな時期だからこそ"免疫力"を考える

2020年5月15日
こんな時期だからこそ

武漢発症のコロナウイルスは世界を混沌とさせ、日常という営みを根本から奪い去り、不安と恐怖を人類に突き付けました。そもそも人類と疫病の歴史は古く、奈良の大仏が建造された理由を考えると、今とは違う疫病との闘いがあったことを学べます。
https://www.youtube.com/watch?v=ViYHqQIsahc
YouTubeの「もぎせかチャンネル」で世界史の茂木先生が「感染症の世界史」をシリーズ化した講義が見られますのでお勧めです。

新型コロナウイルスに対する特効薬は、まだ開発途中ともあり医療体制が確立されていませんが、インフルエンザの例を考えると、日本では毎年、死者数が3000人以上との統計があります。これにより分かるのが、ウイルス感染に対する特効薬は無く、すべての人に対して有効だ、という考へは幻想だと解釈できます。よって、様々なウイルス性感染に対する有効手段は、発症を抑え、自覚症状が無く潜伏ウイルスの消滅を促す防衛力、免疫力が必須となるのでしょう。インフルエンザの場合、体を冷やす行為や基礎代謝の低下による低体温状態を長時間作らなければ、感染したとしても発症しないといわれています。

そこで"免疫力を高める"ことが重要とされます。そもそも免疫力とはいったいどういうメカニズムなのか、理論的に理解していなかったので、調べてみました。
参考書は、理化学研究所の元主任研究員、光岡知足著、「腸内細菌の話」岩波新書1978年発行です。発行年から情報が古いと錯覚しますが、今でも目からウロコの内容満載です。

さて"免疫力"を簡単にまとめると、細菌やウイルスという感染から自己と非自己を識別し、有害な異物を化学構造に応じ、特異的な抗体を作って応える反応(免疫応答)だそうです。
ここでスーパーヒーローが活躍するのみたいな、主役的存在が、リンパ球、プラズマ細胞、マクロファジーの3種類です。
まず、免疫学的な刺激を受け入れる受容体と、特異的な抗体を作る反応系に分かれ、抗体を作る刺激物質の抗原(コロナウイルスみたいな存在)が体に入ってくると、マクロファジーによって取り込まれ抗体産生に都合いい形に処理され、その抗原情報はT細胞とB細胞という2種類のリンパ球に伝達されます。伝達を受けたリンパ球は速やかに分裂をはじめ、抗体生産の細胞と、2回目以降の侵入に備える記憶細胞になります。抗体には2種類あり、プラズマ細胞が作る血液やリンパ液に放出される免疫グロブリン(タンパク質)。もう一つは、リンパ球によって営まれる生きた細胞から切り離されない細胞性抗体です。この細胞性免疫がウイルスや結核菌、真菌などの細胞性寄生性病原体に対する免疫に関与するといった仕組みです。

このような生体免疫のしくみと腸内細菌の関係が重要になってきます。宿主の腸内に住み着いている細菌の種類が免疫の強さに関係するのですが、老化によってリンパ球産生能が低下すると腸内菌叢のバランスが低下しビフィズス菌が減少、免疫能の刺激が弱まります。逆に、ウェルシュ菌が増えることによりその毒性が免疫抑制を促しているそうです。
よって、若い時のような腸内バランスを維持することが大切になります。

ここからは、私見になりますが、武漢肺炎の年齢別致死率で高齢者が多いのはこの辺りとの因果関係が深いのではないかと思います。それと、日本人の死者数が少ないのは、腸が欧米人より長いという点からも保有菌の量が違ってくることと関係しているかのように思います。さらには、日本人の食生活です。それは豊富なバリエーションの発酵食品です。

しかし、ここで陥りがちな過ちは、一つのものに執着する事です。納豆だけでは免疫力は向上しません。それに、腸内細菌に有効な食物繊維(不消化性多糖類)を摂取しすぎると、腹が張ったり、ゴロゴロなったり、鉄、銅、カルシュウムなどのミネラル吸収を阻害します。バランスを保つ食事を心がけ、粗食を心がける事が大切だと感じます。

食生活も大切ですが、規則正しい生活による自律神経の安定や、摂取カロリーを消費し代謝を促す筋力も必要になります。免疫とはライフスタイルと食事と心のトータルバランスの上に成り立っている事を理解し、それを有効利用することが免疫力を高めることができるのだと考えるべきです。

あまり自粛、自粛と家にこもっては、かえって免疫力が落ちるので、他人の迷惑にならない範囲で、日光浴と気分転換は取り入れ、免疫力を維持すれば、恐れるに足らないと思います。

Profile

金井 一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

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