本当に人手不足は経済に悪影響なのか!?

2019年3月15日
本当に人手不足は経済に悪影響なのか!?

現在、日本の求人倍率はバブル期よりも高水準となり、あらゆる産業で人手不足が問題視されています。せっかく景気が回復しているのに人口減少による労働者不足が懸念材料となり、外国人労働者の受け入れ拡大を容認する入管法が可決されました。しかし社会問題にもなっている外国人研修制度の悪用や、その人たちの失踪者問題はあまり多く報道されません。景気回復によって失業率が改善されたことは望ましいことですが、穴埋めに安い外国人労働者受け入れは、別の意味で社会秩序に悪影響を及ぼさないか不安を抱かずにはいられません。

農業現場での人手不足問題は、かれこれ数十年前から深刻化しています。毎年様々な生産地に赴き農家さんに農業の現状を見て聞き回っている私の印象だと、担い手不足感は年々高まりそろそろ米農家辞めようかなんて言う人も現場では増えています。しかしその反動か、最近では人手不足が功を奏し若い稲作農家が手の回らなくなった農地を借り受け大規模化してきているのです。要するに人手不足によって自然と産業再編につながり賃金上昇に至るのです。そうすると人手不足による経済成長の悪影響といったロジックは若干見方が変わってくるのではないかという考えに至ります。

農業の場合、就農人口が減っても農地は減りません。離農した人は耕作放棄してもいいのですが、固定資産税や生産者保護の要素がある助成金などの理由から、農地を貸す方が有利な場合があります。若い農家さんはその離農された元農家さんの土地を借り受けることによって、栽培面積が拡大し農地が集約され生産効率が良くなり生産量も増えます。それに輪をかけ、大規模化する事の助成が受けやすくなり事業拡大の筋道が見えてきます。

戦後、GHQによる農地改革によって小作人が土地を安価で購入し農業を営むことができるようになりました。これにより農地の地権者が複雑に入り組み集約農業を難しくしていたのですが、地権者の離農が高くなると事実上、農地改革以前の集約形態に戻っていくはずです。
単純に考えても100aの農地を10人で使えば一人の分け前は10a分です。しかし5人で分ければ20a分になり収穫量は倍になります。現代の農業生産は技術発展により労働環境は70年前と比べ物にならないくらい楽になっていますし、IT化によって栽培効率も格段に良くなっています。1人で100aを管理することも難しくないかもしれません。

経済学の基本概念は資源分配だったと思います。いま、富の一極集中といったいびつな社会構造にはなっていますが、人口減少に拍車がかかれば安い労働力を必要とする産業は投打され社会が健全化されるのではないかと思います。最近、コンビニの24時間営業を見直すフランチャイズチェーンもありました。今より不便になるかもしれませんが過度に便利を追及する必要はないと思います。人口が減れば実は経済に影響はなくもっと居心地がよくなるのではないかと、若い攻めの生産者との会話で気付かされるのです。

Profile

金井 一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

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