新米の価格が高騰

2017年9月15日
新米の価格が高騰

いま29年産米の収穫期を迎えております。そして今年の米価は作柄に関係なく産地品種によっては2年前に比べ2割以上も高騰しています。もともとお米の価格は味に比例せず、新潟県魚沼産のように有名産地や有名ブランド、銘柄で価格が決まります。需給バランスの影響は若干ありますが、そもそもお米は年々消費量が落ち込み、市場に溢れている状態なので不作にならない限り供給過剰になります。

先日、新潟県小国町のJA柏崎へ今年の作柄確認と商談に行ってきました。8月の長雨と低温が続いたため生育が未熟です。平年以下の収量になると予想されます。茨城県や千葉県などの一部は8月中旬から9月上旬にやっと稲刈りが始まり市場へ新米が出荷されます。新潟県小国町のコシヒカリも10月上旬頃にずれこみます。今年は全国的に天候不順による刈り遅れが目立っています。

稲刈りが終わると、籾を一定の水分まで乾燥させます。結果、1年間安定した食味が確保されます。しっかり乾燥されていないお米は翌年頃から劣化が進みカビの原因になります。最近の新米は瑞々しさが少ないと思われたら保存技術が進歩したと思って下さい。乾燥が終わると籾摺り(脱穀)し玄米を袋詰めします。そして出荷前に品質検査を受けます。検査内容は味ではなく見た目と水分値です。粒ぞろいと一定の水分値に達していると良品質順に1等、2等、3等となります。よほどの天候不順で生育がままならない年でないと3等はめったに出ません。1等と2等では価格の差がありますから。生産者の収入に直接影響してくる要因となります。

ではどうやって価格を決めているのか、一般的な商品は需要と供給のバランスで市場価格が決まるのですが、お米の場合大方の価格を決定する指標が全国にある農協の概算金(仮渡価格)。収穫されたお米を生産者が農協に持ち込み、検査を受けて仮価格を決定。その代金が生産者へ一括で支払われるというシステムです。年が明けて、お米が売れなくて価格が下がったり、何かの要因で取引価格が上がったりした時に買い取り価格を見直し相殺します。
しかしこの概算金があまりにも安いと少しでも高く売りたい農家さんは違うルートで販売し始めます。集荷率が下がった農協は一定量を確保するため高めの価格提示をしたのが今年の29年産米。それに加えて飼料用米への転用が補助金対象となり、一般に販売するより利益が出るため飯米価格上昇のきっかけにもなっています。

生産者が持続可能な農業経営するには生産費を割らない価格での取引が必要です。よって販売価格の上昇はやむを得ないのですが、スーパーやディスカウント、公的機関(学校や病院)や飲食店に納品されるお米の価格が生産費より安い価格で販売、納品されているのが現状です。

理想ですが、生産者はこだわり米だけではなく、収穫量が多く経費の掛からない低価格米も生産や販売先の厳選、小売は生産現場をないがしろにしない価格帯で販売し、消費者は一時の利益ではなく日本の国土保全に貢献しているという意識を持てば、瑞穂の国という日本文化を絶やすことなく子々孫々へつなげていけるのではないでしょうか。ただ現在の流通小売システムを再構築するのは難しいと感じています。

Profile

金井 一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

  • 競馬で牝馬をひんばと読みますが牡馬は?

    by 中村 滋 on 2017年12月 5日
    来年、広辞苑が10年ぶりの改訂とかで、「スマホ」とか「萌え」とかが載るということですが、これをニュースにするというのは、なんか時代とズレてませんか。辞典編集部の担当役員をした経験から言うと、辞典編集
  • ぴちぴちカイサとクリスマスのひみつ

    by 冨樫 チト on 2017年11月30日
    さあ今年もホリデーシーズンがやってきたぼんやりと外の雨を眺める日々も終わり年に一度の絵本屋の張り切り時一年間ためた200冊あまりのクリスマスの絵本を一度に放流する今年はなかなか楽しい絵本を捕獲
  • 「1968年」無数の問いの噴出の時代

    by 石黒 健治 on 2017年11月22日
    「1968年」無数の問いの噴出の時代」展が、国立歴史民俗博物館で開催されています。無数の問いとは何でしょうか。誰が何を、だれに問うのか、問いには答えがあったのか?第1の問いは、ベトナム戦争です。1
  • 美味しさの秘訣は計量

    by 金井 一浩 on 2017年11月15日
    「同じお米なのになぜ?毎回違う炊き上がり!」という経験ありませんか? ごくまれに、「前回のお米はベチャっと炊き上がり美味しくなかった」「今回のお米は粘りがすくなく感じた」このような問い合わせがあり
  • 2017年の自然派ボージョレ・ヌーヴォー...

    by 竹之内 一行 on 2017年11月13日
    2017年の作柄 6、7、8月の3か月は殆ど雨が降らなかった。 降ったのは雹だけ。しかも2度に渡って降った。 3か月も雨が降らなかったので、葡萄が熟す大切な8月は水不足で葡萄がシワシワになって
  • 街は騒音と雑音に満ちていると気づく道具

    by 中村 滋 on 2017年11月 6日
    夜道を歩いていて聴こえる虫の音も、気温のせいか小さくなっています。そんな虫や鳥、風の音は心地良い音色ですが、電車やトラック、バスのロードノイズ、バイクの排気音は騒音です。街はなんと雑音に満ちているこ
  • おおきなくまがいいました

    by 冨樫 チト on 2017年10月27日
    週に一度仕事で横浜に行く吉祥寺から新宿へ湘南新宿ラインに乗り換え横浜へ1時間ほどの電車の旅だボックス席に乗りながら本を読んだり携帯をいじったり周りもほぼ同じように自分の世界を過ごしている新聞であ
  • 自然派ワインの造り手「オリヴィエ・クザン...

    by 竹之内 一行 on 2017年10月24日
    フランスのロワール地方の中にアンジュ・ソミュール地区とういワイン生産地がある。 ここでは赤はカベルネ・フラン、ガメイ、グロロ。白はシュナンブランを主に栽培されている。一般的には軽やかで安いワインが
  • 風景と調和すれば、存在が許される――安部...

    by 石黒 健治 on 2017年10月18日
     [美しい山。川を流れる石ころ。砂浜に打ち上がる流木。それらの形はとうてい人間には作り得ない必然性を持つ。]  安部大雅のパンフレットは、こんな詩的な文章から始まる。続けて、[我々人間がどこまで
  • 有機栽培は無農薬栽培なの!?

    by 金井 一浩 on 2017年10月15日
    最近、お米以外でも野菜や果樹、輸入品までJAS有機栽培の農産物を見かけます。ファーマーズマーケットのように生産者の直売イベントでは栽培表記が必須ですよね。 そこでJAS有機栽培、無農薬栽培、減農
  • あらゆる臭いが瞬時に消える不思議な液体

    by 中村 滋 on 2017年10月 4日
    体臭をやたら気にするのはどうかと思いますが、悪臭というのはいっぱいあります。靴箱、クローゼット、トイレ、生ゴミ、焼き魚あとの台所、エアコン、寝室、ペット、車の中などなど。 消臭といえばファブリーズ
  • 自然派ワインの造り手「ミッシェル・ガイエ...

    by 竹之内 一行 on 2017年9月26日
    自然派ワインファンが大注目の産地の一つにジュラ地方がある。 フランスとスイスの国境に近い山岳地帯にありコンテやモン・ドールなど素晴らしいチーズの名産地でもある。この地は冷涼な気候とこの地独特の葡
  • わたしのワンピース

    by 冨樫 チト on 2017年9月21日
    噂にはきいていたがどうやら読むことと読んでもらうことは全然違うらしい自分で足をマッサージするのと誰かに足をマッサージしてもらうのが全く違うようにするとされるとでは全然違う気持ちよさがあるという
  • たいまつを放さない人の手をたいまつが焼く

    by 石黒 健治 on 2017年9月19日
     9月最初の月曜日、フォトコンテストの審査会に出席しました。仏教伝道協会の「2019年一日一訓カレンダー」を飾る写真の審査です。1740枚の応募の中から第1次審査を通過した385枚の写真が、大
  • 新米の価格が高騰

    by 金井 一浩 on 2017年9月15日
    いま29年産米の収穫期を迎えております。そして今年の米価は作柄に関係なく産地品種によっては2年前に比べ2割以上も高騰しています。もともとお米の価格は味に比例せず、新潟県魚沼産のように有名産地や有
  • ソフトドリンクも自分好みの濃さにできます

    by 中村 滋 on 2017年9月 6日
    ウイスキーや焼酎は、水割りにしろ炭酸割りにしろ自分好みの濃さにできます。ソフトドリンクも同じようにしたいと思いますが、カルピス以外あまりみたことがありません。出来合いのペットボトル炭酸飲料は甘す
  • ぼくからみると

    by 冨樫 チト on 2017年8月30日
    お店の端っこのほうに常にあるけれどとくに光が当たることもなく手に取られ旅立っていくこともほぼない本たちのコーナーがある田島征三さんの「猫は生きている」や米倉斉加年さんの「おとなになれなかった弟たち
  • 自然派ワインの造り手「ガングランジェ」

    by 竹之内 一行 on 2017年8月24日
    フランス・パリから約500km、ドイツとの国境付近に位置するアルザス地方。この地は17世紀から19世紀にかけてフランスとドイツが領有権争いを続けていたため、フランスに属したりドイツに属したりを繰り
  • ヨコハマ トリエンナーレ2017とヴェネ...

    by 石黒 健治 on 2017年8月17日
     3年に1度、世界各国からアーチストを招待して開かれる現代アートの国際展「ヨコハマ トリエンナーレ2017」が開幕した。タイトルは『島と星座とガラパゴス』―《「接続」と「孤立」をテーマに、世界
  • 農業は儲かる!

    by 金井 一浩 on 2017年8月15日
    先日、和日米会(わかこめかい)というお米に携わる人で構成されている会の定例会に参加してきました。簡単にこの会を紹介しますと、「和」は日本の心、「日」は日常、「米」は日本食文の礎という理念の下、各々
1

Homeに戻る