来る平成30年に問題が!?

2017年5月15日
来る平成30年に問題が!?

あまり報じられていないニュースに「平成30年減反政策廃止」があります。
"減反政策"と言われても馴染みが薄いと思いますので簡単に説明いたしますと、政府がお米の需要供給バランスを調整し、余剰米の生産を制限する政策です。
戦後、日本は食糧難の時代が続きました。質より量が求められる時代でしたから生産量を上げる食糧政策が取られました。やがて高度成長期が訪れ日本人の暮らしに余裕が出はじめると、食事の内容も肉食中心の高たんぱく、高カロリーの欧米食化へ変貌していきます。その結果、今まで大量に生産してきたお米が余るようになり、需給バランスにより生じた余剰米の調整が義務化されました。

時代にそぐわなくなった減反政策が廃止され、農家さんが好きなだけお米の栽培が出来るようになるのですが、日本人のお米の消費量が年々落ちている現在、余剰米は米価を下落させます。結果、収入が減る農家は生活に困窮するので現在では兼業農家がほとんどです。

そうなると私たち消費者への供給が気になりますが、今の日本人の欧米化された食生活を考えると供給量を問題視するまで行かないでしょう。ただ違う視点から俯瞰すると、環境災害、自給率、そして農地法という問題が見えてきます。

田んぼは大量に降った雨水をゆっくりろ過する性質があります。洪水や土砂崩れを防ぎ、湿地の効果により動植物や虫を育み食物連鎖を豊富にし、里山としての生態系バランスを整えます。よって田んぼが減ると下流地域の洪水が増え環境災害発生率が高くなります。
それと夏の暑い時期には、田んぼが地域温度の上昇を防ぐという冷温効果を発揮します。

自給率では、試算方法の考え方はあるものの貿易頼みという構図が脆弱な流通システムを浮き彫りにしています。輸入先国の経済状況や貿易摩擦、気候変動、今の世界情勢を考えると不安定要素が多く国民の食品を6割以上外国にゆだねていること事態に一抹の不安を覚えます。

農地は食糧生産以外に営利目的で転用されると、気候不順などで需給バランスが崩れた時に対応できなくなります。日本列島は細長で四季折々なために全滅は考えられませんが食糧という命を育む土は、栽培放棄や営利目的の転売、外国人による土地買収などの脅威から保護する必要性を感じます。

絶やすのは簡単ですが、伝統文化を継承していくのは日本人としてのアイデンティティーに関わる問題だと思います。
減反政策廃止によって炊飯器から湯気が出るといった見慣れた食卓の風景が特別なものにならないよう、古来より築かれた日本人の礎を大切にしていきたいと思います。

Profile

金井 一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

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