主役ではないけど主食です

2017年4月15日
主役ではないけど主食です

日本の主食は、と聞かれれば「お米」と当り前のように答えると思います。では他の国の主食はいったい何になるのでしょうか。そもそも主食という概念はあるのでしょうか。

実はヨーロッパでは肉もパンにも主食という概念は無くほぼ外注、よって女性が家事に費やす時間は少なくなるので、結果的に社会進出率が高くなるそうです。

ドイツの例をあげると分かりやすいのですが、マイスター制度という技能商号がありパンや肉加工職人がマイスターとして活躍しています。よって家庭では加工された食材を買い簡単に調理することが一般的のようですね。一方、日本では今や外食や中食文化が進んでいて一見自炊時間が減少していると感じますが、家庭の味と言われるようにまだまだ家庭料理を作る率が高く、主婦という概念は海外とは少し様子が違っているのだと思います。

そもそも生活環境や宗教観、子育ての環境文化が西洋と根本的に違うので、自炊する日本文化の利点を考慮しなければいけません。いまや運動会や遠足など子どもの学校行事だけではなく通常生活の中でもコンビニ弁当時代ですから、すでに家庭の味という食文化が廃れているかもしれません。たしかに子育て世代は何かと忙しい時期ですが、何物にも変えがたい育児期間は愛情弁当によって子どもの心と体の成長を支える大切な食育になるはずです。主食によって育まれる家庭料理の意味を日本文化と位置づけたいですね。

ではなぜ日本人は自炊中心なのでしょうか。単純に考えると他の国と全く気象環境が違うからだと思います。夏が雨季で、冬が乾季、雨が多い日本は他の国に比べて圧倒的に水に恵まれ植物の生育環境がよく食材の種類が多く収穫できます。そして穀類を小麦のように粉にして増やす事を考えず収穫効率や連作障害が起こらないお米を粒の状態で食べてことができ、発酵に恵まれ、海に囲まれている最高の立地です。

日本食の主役は四季折々、その時期の収穫条件で品が移り変わりますが、脇役のお米(穀物)は劣化するものの1年を通して美味しく食卓を演じてくれます。これも自己主張が強くないおかげで飽きずに付き合える。よってしばらく食べないと何か物足りなさを感じる。酒や味噌、団子、和菓子屋など様々な物に変化し活躍していることを考えると、主食といえる食材がある国に生まれてきた事にありがたみさえ感じてしまう。

最近では自己主張の強いお米が増えておりますが、食卓と体のバランスを整えてくれる内助の功をと考えると、流行り廃りではなくあまり前に出ないお米の方が日本人の奥ゆかしさと、長く愛でる秘訣なのかもしれません。

Profile

金井 一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

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