同位体検査ってなんだ?中国産米混入のニュースから学ぶ

2017年3月15日
同位体検査ってなんだ?中国産米混入のニュースから学ぶ

2月、週刊ダイヤモンドに掲載された記事で「告発スクープ 産地偽装疑惑に投げ売りも JAグループの深い闇」というショッキングな内容がありました。
http://www.j-cast.com/tv/2017/02/15290695.html

お米に限らず食品擬装はいつまでも無くならない、いわば流通システムの隙間産業に発展しているように感じてしまいますが、職業柄とかくお米に関してはちょっと見方が厳しく変ってきます。

今回の擬装ですが同位体検査によって擬装が証明されたとあります。しかしこの同位体検査、本当に産地指定できるのか。そもそも同位体検査ってなんだろう?真実を知るには仕組みを理解する事が先決だと思い調べてみました。

まず、外国産米の混入擬装を見破る方法には二通りあります。一つは流通経路をたどる追跡方です。輸入米は政府管理のFA米とSBSという民間輸入米(輸入量上限あり)が存在します。どちらも税関を通過するので流通管理は難しくなく販売ルートを追う形で納品伝票を追えば最終処分地点が分かるはずです。

もう一つは検体検査です。品種を特定するDNA検査、これは確実に品種の特定ができます。そして産地を特定する同位体検査ですが育った自然環境によって物質の比重が変ります。炭素・窒素・酸素安定同位体比解析で産地擬装を解明する検査方法が同位体検査だそうです。

この2点からアプローチすれば確実に擬装の可能性を疑えますがここで一つ疑問が浮かびます。しかし毎年気候変動する為に同じ品質にならない農産物を同位体検査する場合、様々なサンプルを国内外から毎年集めビックデーター化し解析基準値を設けないと判断が出来ないのではないか、その時間と費用はどうなのだろう、はたして産地を特定するに至るのだろうかと素朴な疑問が浮かびます。オーストラリア産、中国産、タイ産、日本産は大まかに分かるのでしょうが、工業製品ではないお米をピンポイントに魚沼産と明確に断定する事はほぼ不可能だと思います。人為的境界線はと自然環境はべつの話です。

格安で飲食店やスーパーへ納品しているお米業者はどうだろうか、価格の圧力をかけられていたらと考えると業者を悪者にするだけではこの問題は解決しないと思います。デフレサイクルを絶つ営業努力は企業に課せられた課題なのかもしれません。ちなみに5kg1700円(税別)以下で売られているお米は疑ってもいい価格のボーダーラインだと思います。

Profile

金井 一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

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