「伊勢の神宮」に思いを馳せる

2016年9月15日
「伊勢の神宮」に思いを馳せる

今月の「お米と暮らし」は日本人と稲作の深いかかわりがよくわかる、「伊勢の神宮」を紹介させていただきます。

表題から読み取れる通り伊勢神宮に関する書籍ですが読み進めるにつれ、あまりにも日常化しすぎて深く考える事が無いお米と日本人との深い関係、伊勢神宮と神話の世界、日本各地で行われている様々な祭り、そして日本が歩んで来た歴史を知る事ができます。

実はこの本の著者であるジャーナリストの南里さんは、当店近所にお住まいで古くからのお客様。平成23年神道文化功労者表彰を受賞した日本文化に精通した方です。私の米屋に対する姿勢や考えを雑誌記事として掲載する事になり南里さんの取材依頼を受け、そのお礼を兼ね日本人とお米の造詣が深まるようにと足掛け10年取材し執筆した「伊勢の神宮」をプレゼントしてくれたという経緯です。

日本人は無意識のうちに神道という概念が根付いているとおもいます。ごはんを食べる前に唱える「いただきます」、物を大事に使い大切にする気持ちの「もったいない」という感覚は、まさに大自然界から全てが産まれ万物に感謝する心だと思います。
世界を見ると一神教という一人の神様を祀る宗教観がほとんどですが、万物に神が宿りそれぞれの神様に御参りする八百万の神の概念は日本独特だと思います。

秋を迎えるころ日本各地では穀物の収穫作業が始まります。1年を豊かに過ごせるか、それとも飢えるのか、穀物の収穫量が民の命を左右した時代は神様へ祈念し感謝する儀式的な祭り(祀り)は日常的に行われていたのだと本を読んで感じました。それも稲作が中心となり今でも毎月行われていることは驚きです。
それは厳粛な儀式の中でも最も代表的な祀りが9月上旬の抜穂祭(ぬいぼさい)、10月の神嘗祭(かんなめさい)、11月の新嘗祭(にいなめさい)、そして記憶に新しい20年に1度の式年遷宮。

古来、稲作が中心だった頃の慣わしがいまでも引き継がれていると考えると日本文明、文化に誇らしさを感じます。南里さん曰く、日本文化を象徴するお米の仕事に従事している事はとても名誉なこと、お米の文化を絶やさずに頑張ってほしい、そして「造化の三神」や「結び」という謂れを持つ「おむすび」という言葉を大切にして欲しいと。
いま世界で起こっているニュースを見ると、日本人に生まれてよかったと改めて思います。「和」という志の大切さを感じ世界に誇れる文明、文化を継承し米穀業に反映できるよう心がけたいと思いました。

Profile

金井 一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

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