「ふるさと納税」を考える

2016年7月15日
「ふるさと納税」を考える

先日、同業者や農家の集まりがありまして地方からの参加者が多かったせいか「ふるさと納税」の話題が上りました。私のように出身、実家、在住が全て東京だと今一つ馴染みが薄いのですが、そんな境遇でも適した使い方だなーと思った一例が熊本震災後の復興支援として被災市町村への「ふるさと納税」でした。しかし平時の「ふるさと納税」は当初と様相が大分変わってきているそうです。地方から参加された皆さん口々に「納税より見返りを重視され、ふるさと活性に寄与しているか疑問」との声が大半でした。なぜ?なのか、皆さんの意見を元にお米の流通から考えてみました。

流通システムの崩壊

お米は農家が収穫、それを農協ないし集荷業者が買い取り卸又は小売業者を経て消費者へ。これが一般的なお米の流通です。食管法撤廃で農家から直接小売か消費者へ販売する流通も定着しています。農協や集荷業者へ出荷すると大量に一括買取してくれるので農家はまとまった現金が入ります、よって収穫までに貯まった支払いが一気に清算できるメリットがあるそうです、その代わりに販売価格は抑えられてしまいます。農家が小売や消費者へ直に販売する場合、流通の中抜きが出来るために高い価格で販売できます。しかし注文は不定期だったり急にキャンセルされたりといった具合で流通が安定せず現金化に時間がかかるといったデメリットもあるそうです。よって稲作農家さんは上手く両方を使分けているそうです。さて「ふるさと納税」ですが、地元の農協や集荷業者、小売から行政が買い上げ納税者へ発送するという流れが一般的のようです。そこで何が問題かというと、行政が買うわけですから税金で買い上げているという点です。本来、物を購入すればそこには消費税、売上に対する所得税、法人税などの税収が見込まれます。現在多くのふるさと納税は地域貢献納税より見返り商品が目的になっています。その見返り品の資金は税金ですから一般流通した場合の税収との差し引きはどうなの?という側面が考えられます。さらにはパンフレット作成や発送費など新たに事務的費用がかさみ余計な経費(税金)が掛かってしまいます。皆さんの話では時の政策に左右されることなく今まで築いた顧客との関係性を重視したい、といった気持ちがうかがえました。

見返りを求めない納税方法

ふるさとに縁のある人が出身地を応援したい、還元したいという気持ちはよく分かります。しかし納税に見返りを求めると少し話が変ってくるようです。出身地の活性化には、その産地の品を一般流通で購入する事が望ましいと思います。正規流通で生産者、地元業者の売上が伸びれば雇用も生まれるでしょう。さらにはそれに伴う税収が伸びればふるさと納税以上の効果が期待できるように思います。見返りの無い「ふるさと納税」こそが、地方活性に多いい大切だなーと感じました。

Profile

金井 一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

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