やなせメルヘン名作集

2016年7月27日
「やなせメルヘン名作集」

「やなせメルヘン名作集」
やなせたかし
カザン

夏休み
子どもや孫が
あんぱんまんを夢中で読んでいる
そのとなりで
おとなはこんな本をゆっくりと読んでいたい
ご本人曰く
人生のクライマックスの時期に
雑誌「食生活」に36年間にわたって連載された
原稿用紙3枚分の創作メルヘン
その初期の作品を
その当時のままのヘタクソな絵
(本人談)でまとめた一冊

短編集というのは面白いもので
何話も読み進めていくとその内に
作者の人となりというか
素、本質、核のようなもの
その人の中心にあるものが
少しずつ見えてくる気がする

一作ずつで取り上げているテーマは様々なのだが
例えば庭になった胡瓜を
みずみずしいな
美味しそうだな
綺麗な緑だな
だけでなく
やなせさんの目には
おや
電話のような形だな
と見えている
ある日その胡瓜に
亡くなったお父さんから電話がかかって来て
アイロンの電気が付けっ放しなことを知らせてくれる
これがやなせさんのまなざし
おたまじゃくしのおじいさんの話なんてのもある
おたまじゃくしのおじいさん
サラッと聞き流してしまいそうだが
よく考えるとおや?おたまじゃくしは皆
カエルになるはず
ナゼカエルにならずにおたまじゃくしのまま
おじいさんなのか
そこにもやはり
ああ
やなせさんはこういう方なのだな
という
やなせたかしの芯のようなものが見えてくる
こうして一話一話を重ねて行くと
透かし絵の暗号のように
重なった一つの結晶のようなものが見えてくる
その頃には僕らオトナもまた
やなせさんの魅力にジワリとやられてきて
きっとコドモたちがみな
何故あんぱんまんに夢中になるのか
その秘密が
ふんわりと解けるのである

最後に本文より
やなせ氏本人のおすすめの言葉を
「みじかいメルヘンで、どこから気まぐれに読んでも簡単に3分間で読める。丁度熱湯をそそいだインスタント食品ができあがる時間になっている。キッチンで砂時計の代用として1篇読んでください。退屈しません。」

「やなせメルヘン名作集」
フランソワ・バチスト氏がご紹介しました

Profile

冨樫 チト(とがし ちと)

冨樫 チト (とがし ちと)

本名である。フランス童話「みどりのゆび」のチト少年にちなんで両親から命名される。富士の裾野の大自然の中、植物画と読書と空想の幼少期を過ごす。
早稲田大学在学時よりプロダンサーとしての活動を開始。
舞台演出、振付け、インストラクター、バックダンサーなど、踊りに関わる全てに携わる傍ら、持ち前の遊び心で、空間演出、デザイナー、リゾートホテルのライブラリーの選書、壁画の製作、ライブペイントによる3Dトリックアートの製作など、無数のわらじを履く。
2015年2月、フランソワ・バチスト氏として、住まいのある吉祥寺に絵本児童書専門古書店、「MAIN TENT」をオープン。
氏の部屋をそのまま移動させた小さな絵本屋から、エンターテインメントを発信している。

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