「みみをすます」

2015年8月22日
「みみをすます」

みみをすます
詩 谷川俊太郎
絵 ブックデザイン 柳生弦一郎
福音館書店

今年の夏もまた
格別に暑い
プールに飛び込んでみても
そのプールすらぬるま湯のようで
ちゃんと胸にぴちゃぴちゃ水をかけてから
えいやと飛び込んだ自分が恥ずかしくなる

8月
ということで
吉祥寺の絵本の古本屋MAIN TENTでも
戦争や平和に関する本をずらり並べている
よく手に取られるのは
「ちいちゃんのかげおくり」
あまんきみこ作/上野紀子 絵/あかね書房
教科書に載っていたこともあり
あ、校庭でかげおくりした!
と懐かしく語られる方も多い
読む
だけでなく
そこから一歩踏み出して実際に体験してみること
やはり大切なのだと思う

また今この時代ということもあり
井上ひさしさんの
「こどもにつたえる日本国憲法」
も店頭に出した途端に旅立って行く
いわさきちひろさんのやさしい絵も印象的だ

逆に
東京大空襲を猫の目線から壮絶に描いた
田島征三さんの「猫は生きている」
などはストレートすぎるのか
なかなか手に取られることはない
吉祥寺の花屋さん「4ひきのねこ」さんもおすすめの
是非読んでいただきたい一冊なのだけれど

戦争や平和の本 こどもに伝えるその最初の一冊を
何から始めるか
みなさま悩んでらっしゃるようで
こどもに残酷な絵を見せることへのためらい
それでも伝えるべきことは伝えたい
本を手に取り
棚に戻し
手に取り
また棚に戻す
そんな方々を何度か見ていて
ふと2冊の本が頭に浮かんだ
戦争の本
平和の本
そしてその
一歩手前の本

一つは
「せかいのひとびと」
ピータースピア/評論社
この地球上には
実はものすごく沢山のひとびとがいて
それこそ肌や目の色も違えば
喋る言葉も
食べるものも着るものも
信じる神様もみーんな違って
とにかく自分とは違う考えかたや歴史や容姿を持ったひとびとが
この地球にいっぱい住んでいる
正しいが間違っていることもあれば
間違いが正しいこともある
みんなが一緒が当たり前でなくて
みんなが違うのが当たり前なことが
ほーら楽しいだろ
とわくわく伝わってくる
「違う」のたのしさ
「違う」のうつくしさに出会える本

そして
今回紹介したい一冊
谷川俊太郎さんの名作
「みみをすます」
柳生弦一郎 絵と装幀/福音館書店
同じ考えの人の声に
違う考えの人の声に
大きな声に
小さな声に
声を出せない人の声に
まず
みみをすます
深呼吸して
目を閉じて
みみをすます
みみをすますことで
普段聞こえない声や
普段意識をしない声に気づく
虫眼鏡で植物を見たときのように
今までもちゃんとそこにあったのに
今まで気づかなかったものたちと出会う
見えなくても
聞こえなくても
確かにそこにいる
「いざり」
という言葉が出てくる
今では聞かなくなったことば
「ことば」がなくなったからといって
存在がなくなったわけではない
そんなことにもみみをすます
とても大事な一文がある
『ひとつのおとに
ひとつのこえに
みみをすますことが
もうひとつのおとに
もうひとつのこえに
みみをふさぐことに
ならないように』
賛成するも
反対するも
まずは
みみをすますことから

8月
戦争の本
平和の本の中から
谷川俊太郎さんの「みみをすます」
フランソワ・バチスト氏がご紹介いたしました

Profile

冨樫 チト(とがし ちと)

冨樫 チト (とがし ちと)

本名である。フランス童話「みどりのゆび」のチト少年にちなんで両親から命名される。富士の裾野の大自然の中、植物画と読書と空想の幼少期を過ごす。
早稲田大学在学時よりプロダンサーとしての活動を開始。
舞台演出、振付け、インストラクター、バックダンサーなど、踊りに関わる全てに携わる傍ら、持ち前の遊び心で、空間演出、デザイナー、リゾートホテルのライブラリーの選書、壁画の製作、ライブペイントによる3Dトリックアートの製作など、無数のわらじを履く。
2015年2月、フランソワ・バチスト氏として、住まいのある吉祥寺に絵本児童書専門古書店、「MAIN TENT」をオープン。
氏の部屋をそのまま移動させた小さな絵本屋から、エンターテインメントを発信している。

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