自然派ワインの造り手
フレデリック コサール

2019年5月28日
自然派ワインの造り手 フレデリック コサール

生産地

ボーヌ市から西に6 km、ポマール、オークセイ・デュレスと通り抜けさらに奥へ上ると、目の前に切り立った急崖が広がる。その崖を目指してさらに進むと標高400 mの高台にサン・ロマンの村がある。フレデリック・コサールの拠点はサン・ロマン村で、彼のドメーヌは村から2 kmほど離れた麓にある。ドメーヌは、裏が丘そして正面に小川が流れる、周囲1 km四方に全く民家の見当たらないまるで隠れ家のような場所にあり、そのまわりは電波が一切遮断されていて携帯電話が全くつながらない。(コサールいわく「有害電波を遮断したクリーンな場所をわざわざ選んだ」とのこと)

BioWine_sub1畑は従来のACサンロマン、ACオークセイ・デュレスに加え、2010年からACポマール、1erクリュ、ACヴォルネイ、ACブルゴーニュ、ACブルゴーニュ・オート・コート、ACアリゴテを新たに所有。平行して、ムルソー、ボーヌ・ロマネ、ピュリニー等ブルゴーニュの厳選された畑から優良なブドウを買い、ネゴシアン・フレデリック・コサールとしてワインを醸造している。気候は半大陸性気候で、冬は寒く夏は暑いが、いわゆる「コート・ドール」と呼ばれる南北100 kmに及ぶ丘陵地帯が過酷な気候から身を守る。土壌の性質、畑の向き、そして気候がそれぞれのクリュによって様々で、ミクロクリマとテロワールが複雑に絡み合う。


歴史

BioWine_sub2現オーナーであるフレデリック・コサールが自らドメーヌ・ド・シャソルネイを立ち上げたのは1996年。当時、ワインとは無縁の酪農の家系で育ったフレデリックは、厳格な父親の影響の下、家業を継ぐためにENIL(国立乳産業学校)で乳醗酵を学ぶ。学校を卒業後、父親の命令で、ボストン近郊にある乳製品会社Bongrainに2年間の研修予定で無理やりアメリカに旅立つも3週間でフェードアウト。その後、家業を継がないことを決めた彼は、父の下を離れ以前から興味のあったワインの世界に裸一貫で飛び込む。


その時、23歳だった彼は、ボーヌとサヴォワの醸造学校でワインを学び、最小限の投資でクルティエの仕事を始める。何も伝のない中、紙と鉛筆と電話と車だけで片っ端からブルゴーニュのドメーヌの門を叩き、粘り強くワインの交渉に当たり次第に顧客の信用を勝ち得るようになる。途中、ニュイ・サン・ジョルジュのネゴシアンでワインのブレンドを担当しながら10年間クルティエ業を勤める。その間、「ブルゴーニュのワインは全て飲み尽くした」という彼は、自らの理想のワインをつくるために、ドメーヌ立ち上げを決意する。1996年、彼は義理母(当時)と一緒に念願のドメーヌを立ち上げる。2005年、新たにワイン醸造所を建設し、その翌年にネゴシアン・フレデリック・コサールをスタートし現在に至る。

生産者

BioWine_sub3現在、コサールは10 haの畑を5人で管理している。(繁忙期は季節労働者が数人手伝う。)彼の所有するブドウ品種は、ピノノワール、シャルドネ、アリゴテで、樹齢は若いもので8年。平均樹齢が50年で、古樹になると樹齢が80年に達する。彼の提唱するVin Vivant(活きているワイン)をグランクリュで表現することを目標に、日々探究を続けてきたコサールがついにその夢を実現。2000年から畑のプレパラシオンに病気の耐性を強化するホメオパシーを取り入れ、ブドウの活性化を図る。醸造面でも、粒単位での選果、SO2無添加、ノンフィルター、徹底した温度管理、地中カーヴの増設など、大胆でありながら繊細にして努力家の彼は、良い品質のワインをつくるために支払う代償は全く惜しまない。


BioWine_sub4Vin Vivant! フレデリック・コサール氏は、よく口に含んだ後「ブルルルル」と体を震わせたり、あるいは「ン...」と深くうなずきながら、後で「ウマイ!」と叫ぶことがある。「ウマイ!」と日本語で叫ぶのは我々日本人に対する愛嬌だとしても、その前の感動の動作は、まさに彼が美味しいワインに出会った時のリアクションそのもので、これが彼の提唱する[Vin Vivant]すなわち活きたワインのエネルギーなのだ!「たとえグラン・ヴァンであっても、口にした瞬間心の底からこみ上げてくるような波動がなければ、それはワインが死んだも同然だ!」と語るコサール。確かに、彼のワインは試飲を進めていく度に互いのヴォルテージが上がっていくので、思わず私も「おぉ...」と知らず知らずのうちにうなり声を上げてしまう...非の打ち所のないすばらしいワインだ。


BioWine_sub5Vin Vivantという言葉は、初めてコサールから耳にしたのだが、最初に聞いた時は妙に納得し感動してしまった。なるほど、確かに美味しいワインにはしびれるような感動がある。Vin Vivantとは、すなわち、美しいワインには必ず良い波動やエネルギーがあり、たとえワインが無名であっても、そのワインを味わったときに心揺さぶられるような感動ある。そして、その震えるような振動が伝われば、それは紛れもなくすばらしいワインだということだ。


BioWine_sub6彼は言う、「ワインは頭で考えるな!良いワインは口に含んだ瞬間必ず魂が揺さぶられるような感動がある!それは、テロワールやミネラルの波動がブドウに変化し、そのブドウの波動がワインに変化し、そしてワインの波動が人間に伝わっている証拠だ!」と。ワインを飲むときは頭で飲むのではなく感覚を信じて飲め!と彼は提唱する。


彼がVin Vivantという考えに行き着いたのは決して偶然ではなく、その境地にたどり着くまでには長い経験と下積みがあった。ドメーヌを立ち上げる前に10年間ワインのクルティエとしてブルゴーニュ中を奔走し、そのクルティエ時代にブルゴーニュのワイン全てを飲み尽くし、ノートに書いて頭に叩き込んだそうだ。ワイナリーの家系でもない、醸造の輝かしいディプロムを持っていたわけでもない彼にとって、頼りは彼独自のワイン分析と経験だけであった。「たとえばルイ・ジャドはフィネス、ドルーアンは少し樽を利かせた熟成タイプ、ボワセはまず値段...等々、自分の感覚でワインを分析し、ドメーヌや畑に足蹴く通いテイスティングしながら10年かけて自分の理想のワイン像を収斂していった」と彼は言う。

そして、経験の中でたどり着いたひとつの結論はブドウの品質だった。すなわち、ブドウがテロワールやミネラルの波動をワインに集約し、私たちに伝えるということだった。「ブドウが全てを包み隠さずに伝える。だから、我々は、ブドウがその土地のエネルギーを100%集約できるような環境を用意してあげなければならない」。彼が土を耕すのも、散布剤を減らしてホメオパシー(※フレデリック・コサールの+α情報に説明あり)を取り入れるのも、全てはテロワールのエネルギーをブドウに最大限吸収させるためだ。醸造も同様に、ブドウのエネルギーを壊さずに如何にワインに集約するかというその一点に全神経を注ぐ。彼にとっては、たとえ健全なブドウでも、醸造で酵母や酵素添加、SO2、補糖、捕酸、逆浸透膜フィルター、ミクロオキシジェナシオン等々、下手に人が手を加えることは、ブドウのエネルギーの遮断につながり、結果、波動が伝わらない死んだワインと同然なのだ。「私は、クルティエ時代にこのようなワインをたくさん口にした。名のあるグラン・ヴァンでさえ波動の伝わらないワインがたくさんある...。これらワインは最終的にいつも味わいが似たり寄ったりで、感動が全くない...」と本当に残念がるフレデリック。それもそのはず、彼の将来の目標は、ブルゴーニュワインの救世主たるべく、グラン・ヴァンでVin Vivantを仕込むことだからだ。自分のやり方で畑を甦らせ、自分の手でブドウを摘み、そして仕込む。この目標に向かって彼は今着々とまい進している。

中食需要は増えているけど「お米が不味い」のはなぜ?

2019年5月15日

中食需要は増えているけど「お米が不味い」のはなぜ?

先日、帰宅時間が遅くなり夕食の準備ができないので仕方なく駅中で弁当を買って帰りました。外で弁当を買う機会があまりないので今と昔を比較できませんはが、お米が不味かった。
昨年の夏、産地視察に向かった時もそうでした。休日早朝に産地へ向かうとどうしても移動時間を多く取られてしまい疲れるので、仕事を終えた夜に新幹線で現地入りしました。車中晩酌しながら弁当を食べたのですが、これまたお米が美味しくない。くず米に分類されるお米が目立ち、割れているお米が多く粒々感が欠け口どけの悪いお米です。
中食弁当にクオリティーを求めてはいけないのかもしれませんが、ここ近年の業務用米動向に変化が起きている症状が現れている証のように思われます。

その背景には、現在のお米相場動向が大きくかかわっています。よって裾物と言われている業務用米の取引相場価格が上がってきているのです。
一番の原因は、昨年の春から秋にかけて天候不順が続き干ばつ状態の産地もあれば、あわよくば大雨で洪水被害になりそうな場所と、かなり極端な天候不順に各生産地の収穫状況が悪く、前年対比の収穫量が80%余りとなっている県が多くあります。
そのせいもあり低価格米だけではなく良質米の産地とされている新潟県でさえコシヒカリが品薄状態、取引価格が高騰しています。もしスーパーなどで新潟のコシヒカリが安く売られていたら眉唾物です。

もう一つが政策によって平成30年産から減反政策が廃止されたことです。その救済措置に飼料米転用の助成金があります。10aあたり55,000円~105,000円と、収量に応じて支払い金額が変わるのですが加工米が20,000円、麦、大豆の転作が35,000円と比べても助成額が高いために飼料米登録する農家が激増。よって安いお米の生産地や品種を生産している農家さんは人より家畜のえさのほうが高収入を得られるといった逆転現象が発生。食用米の品薄状態が続き価格の上がっている要因です。

そもそも、生産構造と流通システムが時代に合わなくなってきているのではないかと思います。そして食品ロスのことも考えれば、損益分岐点で利益を優先する企業経営にも問題があるのではないかと。
業務用は効率を重視するあまり無洗米需要も多くあります。これもまた食味を落とす最大の要因、ますますお米離れを加速させるでしょう。
手間暇かけて栽培されたお米を最高の状態で加工し提供するから美味しお米に出会えるのですが、便利を求める市場ニーズがある限り、まずいゴハンはなくならないででしょう。

日用品がグッドデザインだと街も美しくなる

2019年5月 7日
日用品がグッドデザインだと街も美しくなる

シニア向けのアシストツールは昔からたくさんあります。百均にもあります。ただ、この手の日用品は機能重視で、意匠に気を遣っていません。
引き出しにしまって置かなくていいものがありました。あらゆる蓋を開けるためのマルチツールです。2016年ドイツデザイン大賞とかで、さすがにバウハウスの国、シンプルデザイン。

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