自然派ビールの造り手
「ブラッスリー ピジョネル」

2015年8月22日
自然派ビールの造り手 「ブラッスリー ピジョネル」

自然派ビールの造り手 「ブラッスリー ピジョネル」

今回は自然派ワインではなく、自然派ワインの造り手がこぞって愛飲しているというビールをご紹介いたします。

「ロワレット」。自然派ワインの生産者の間では、あまりにも有名すぎて知らない者がいないくらい愛飲されているビールの銘柄。醸造所の名は「ブラッスリー・ピジョネル」。 ピジョネルのビールの愛好家には、フレデリック・コサール、ティエリ・ピュズラ、ジャン・フォワヤールをはじめ、ルネモス、パスカル・ポテール、フィリップ・ヴァレット、フィリップ・ジャンボン、デコンブ、クリスチャン・ビネール、ブリュノ・デュシェーンなど他にもたくさんの自然派ワイン生産者の名前が連なる。生産者だけではなく、パリでもヴェール・ヴォレやバラタン、セヴロ、シェ・ミッシェル、ラシーヌ、シャトーブリアン、セプティム他80以上のレストランや、カーヴ・デ・パピーユ、カーヴ・オジェ、カーヴ・デュ・パンテオン、オー・ヌーヴォー・ネなど40以上のカーヴィストと取引がある。その他、フランス各地域の主な自然派レストラン、国外ではアメリカ、カナダ、イギリス、北欧、イタリア、スイスなどにも輸出しており、年間10万本という小さなパイを分け合っている!

wine1.jpg シンプルなエールビールをクリーミーな泡立ちの喉越し爽快なビールをつくり上げるルドヴィック&ステファン・アルドアン。フランス国内のみならず、お隣のビール大国ベルギー、ドイツを含め数多くのマイクロブルワリーがひしめく中、彼らのビールは、とりわけ自然派ワインの業界で絶大な支持を得ている!ピジョンネールの愛好家であるティエリ・ピュズラは、彼らのビールの美味しさをずばり「酵母が生きているから!」なのだそう! 確かに、彼らのビールは、甘藷糖を添加しビールの泡を作るが、泡を作るのはあくまで一次発酵の酵母で、シャンパーニュのように甘藷糖の添加の際に新たに培養酵母を添加するということはない。さらに、二次発酵で泡が生成されてもデゴルジュマンをしないので、酵母は瓶内に澱となって残る。ビールの泡をつくるために途中甘藷糖を加えるにせよ、一次発酵の酵母をそのまま活かすというやり方は、どこか自然派ワイン生産者がつくるペティアン・ナチュレルに似ていて面白い!もしかしたらこの辺りが自然派ワイン愛好家に支持される理由なのか?

ブラッセリーを立ち上げる以前、彼と弟のステファンはパリを中心にベルギービールを販売する仕事をしていた。彼らの仕入れていたビールは大手ではなく、ブリュッセルのカンティヨン醸造所やエノー州のデュポン醸造所などナチュラル思考のクラフトビールだった。クライアントは、当時から上記に挙げたようなナチュラルなビールに関心を持つレストランやカーヴィストがほとんどだった。
販売先では、ビールを配達する際に、ついでの一杯としてワインを勧められることが多く、その時経験したワインほとんどが自然派ワインだった。
そんな中、初めてクリスチャン・ショサールのヴヴレーのペティアン・ナチュレルを飲んだ時に、彼は大きな衝撃を受けたそうだ!「いつかペティアン・ナチュレルのような自然なビールをつくってみたい!」この時点で、ペティアン・ナチュレルのエスプリが注入されたルドヴィック。麦芽やホップなどを全てビオにしたのも、麦汁を完全ノンフィルターにしたのもペティアン・ナチュレルを意識した結果だ。立上げ当時は、ナチュラルを極めようとカスティヨン醸造所のような天然酵母のランビックビールに何度か挑戦したことがあったそうだが、そもそも彼の求めているヴァン・ド・ソワフ的な味わいはそこになく、また蔵付き酵母の安定していない醸造所では発酵が難しく、ほとんどが失敗で終わったそうだ。試行錯誤を繰り返す中で、シンプルかつナチュラルな方法で彼らが納得する味わいに辿りついたのが今のロワレットだ!
ルドヴィックは言う、「ビールづくりはワインと違って、ミレジムによって根本の味わいが左右されることはない。味わいを人の手でコントロールできる分、それだけ素材やつくる人のセンスがビールの味わいに出る」と。
所在地はロワールの古城のひとつ、世界遺産であるシュノンソー城から南東に15㎞ほど下ったところにセール=ラ=ロンド村があり、その村のはずれにブラッセリー・ド・ラ・ピジョンネールがある。

ロワレット5.5%
ビエール・ブロンド:アルコール度数5.5%)
モルト:大麦麦芽(ピルスモルト93%、ミュンヘンモルト7%)
ホップ:ストリスルシュパルト、ブリュワーズ・ゴールド


「みみをすます」

2015年8月22日
「みみをすます」

みみをすます
詩 谷川俊太郎
絵 ブックデザイン 柳生弦一郎
福音館書店

今年の夏もまた
格別に暑い
プールに飛び込んでみても
そのプールすらぬるま湯のようで
ちゃんと胸にぴちゃぴちゃ水をかけてから
えいやと飛び込んだ自分が恥ずかしくなる

8月
ということで
吉祥寺の絵本の古本屋MAIN TENTでも
戦争や平和に関する本をずらり並べている
よく手に取られるのは
「ちいちゃんのかげおくり」
あまんきみこ作/上野紀子 絵/あかね書房
教科書に載っていたこともあり
あ、校庭でかげおくりした!
と懐かしく語られる方も多い
読む
だけでなく
そこから一歩踏み出して実際に体験してみること
やはり大切なのだと思う

また今この時代ということもあり
井上ひさしさんの
「こどもにつたえる日本国憲法」
も店頭に出した途端に旅立って行く
いわさきちひろさんのやさしい絵も印象的だ

逆に
東京大空襲を猫の目線から壮絶に描いた
田島征三さんの「猫は生きている」
などはストレートすぎるのか
なかなか手に取られることはない
吉祥寺の花屋さん「4ひきのねこ」さんもおすすめの
是非読んでいただきたい一冊なのだけれど

戦争や平和の本 こどもに伝えるその最初の一冊を
何から始めるか
みなさま悩んでらっしゃるようで
こどもに残酷な絵を見せることへのためらい
それでも伝えるべきことは伝えたい
本を手に取り
棚に戻し
手に取り
また棚に戻す
そんな方々を何度か見ていて
ふと2冊の本が頭に浮かんだ
戦争の本
平和の本
そしてその
一歩手前の本

一つは
「せかいのひとびと」
ピータースピア/評論社
この地球上には
実はものすごく沢山のひとびとがいて
それこそ肌や目の色も違えば
喋る言葉も
食べるものも着るものも
信じる神様もみーんな違って
とにかく自分とは違う考えかたや歴史や容姿を持ったひとびとが
この地球にいっぱい住んでいる
正しいが間違っていることもあれば
間違いが正しいこともある
みんなが一緒が当たり前でなくて
みんなが違うのが当たり前なことが
ほーら楽しいだろ
とわくわく伝わってくる
「違う」のたのしさ
「違う」のうつくしさに出会える本

そして
今回紹介したい一冊
谷川俊太郎さんの名作
「みみをすます」
柳生弦一郎 絵と装幀/福音館書店
同じ考えの人の声に
違う考えの人の声に
大きな声に
小さな声に
声を出せない人の声に
まず
みみをすます
深呼吸して
目を閉じて
みみをすます
みみをすますことで
普段聞こえない声や
普段意識をしない声に気づく
虫眼鏡で植物を見たときのように
今までもちゃんとそこにあったのに
今まで気づかなかったものたちと出会う
見えなくても
聞こえなくても
確かにそこにいる
「いざり」
という言葉が出てくる
今では聞かなくなったことば
「ことば」がなくなったからといって
存在がなくなったわけではない
そんなことにもみみをすます
とても大事な一文がある
『ひとつのおとに
ひとつのこえに
みみをすますことが
もうひとつのおとに
もうひとつのこえに
みみをふさぐことに
ならないように』
賛成するも
反対するも
まずは
みみをすますことから

8月
戦争の本
平和の本の中から
谷川俊太郎さんの「みみをすます」
フランソワ・バチスト氏がご紹介いたしました

お米の値段はちょっと変!?

2015年8月17日
お米の値段はちょっと変!?

お米を栽培するのに、土地代や水代、種や肥料、農薬、機械、燃料などなど様々な経費がかかります。で1俵(玄米60kg)を栽培するのに試算した「米生産費」という指標が農林水産省から発表されます。最新の数字は25年産の全国平均価格1俵15.229円です。 最低は北海道11.956円で、最高は四国21.286円となっています。この価格差の理由は大規模化が可能かどうかの農業効率ですね。でも60kg玄米価格と言われてピント来ないとおもうので白米5kgに換算してみます。

15.229円(玄米60kg)を白米にすると約1割ヌカになるので白米53.5kgで15.229円を53.5で割ると、1kgが284円になります。5kgだと1420円+税で1533円、10kgだと2840円+税で3067円。これが白米の原価です。消費者の手に届くまでにはこれにプラス流通経費がかかってくるので、最低でも10kg4000円以上が適正価格だと思います。 いまスーパーやディスカウントストアで売られているお米の価格、安すすぎませんか。

消費者にとって安いはいいかもしれませんが、実は生産費と販売価格の大きな差が生産者の体力身を削っている事に繋がっているのです。単純に原価を割れていますから、赤字なのにお米を栽培する人はいませんよね。よって年々稲作農家が減り高齢化が進み生産の先細りが懸念されています。この状況があと数年つづくと日本の美しい田園風景に異変が出てくるかもしれません。

なぜこんな状況になったのか、単純に日本人のお米を食べる量が減ったからで、毎年大量にお米が余ります。現在は一人あたりの年間消費量が56.9kg、昭和37年には一人当たり118.3kgと統計で出ています。戦後の欧米食化が横行したのが最大の要因だと思います。それに伴う数字が食料自給率、現在カローリーベースで39%と世界的に低水準。 海外では日本食文化(鮨や天ぷらなどではなく、ごはん、味噌汁、納豆、といった日常食)が注目されている背景にはヘルシーという観点が強いと思います。人は循環の中に生きているのであれば自然に対してもヘルシーでなければ意味が無いのでは、と思います。

だいぶ話がずれてしまいましたが、そろそろ各産地から新米の便りが届きます、すでに収穫する前から価格が決まる産地や品種もあります。産地名だけで高値取引されるものもあります。そこには見た目だけで価格が決まり、毎年天候で変る品質という概念は無く価格設定されているお米がほとんどです。この業界の流通システムや評価基準がもう少し消費者目線になれば、日本人のお米の認識が変っていくような気がします。安いには理由がある。少しでもそんな感覚を持っていただけれ ば幸いです。