自然派ワインの造り手
「ガングランジェ」

2017年8月24日
自然派ワインの造り手 「ガングランジェ」

フランス・パリから約500km、ドイツとの国境付近に位置するアルザス地方。この地は17世紀から19世紀にかけてフランスとドイツが領有権争いを続けていたため、フランスに属したりドイツに属したりを繰り返してきたという歴史がある地。今もなおドイツの文化も色濃く残っている。アニメ「ハウルの動く城」(宮崎駿監督)のロケ地ともいわれるコルマールという都市から10kmほど南下した小さな村ファッフェンハイムにガングランジェという蔵元がある。現当主はジャン・フランソワ・ガングランジェ。西側は傾斜の急な丘陵地が南北170kmに渡り連なり、東向きに面したアルザスワインの銘醸地が帯のように連なる。その丘の中腹に彼のブドウ畑は集中する。気候は半大陸性気候で、西のボージュ山脈が海洋性気候をせき止める影響で風は穏やかだが、一年中乾燥しており、冬は寒く、夏は非常に暑い。春秋は朝夕の気温の寒暖差で付近を流れるライン川の支流からしばしば霧が運ばれる。

ジャン・フランソワは父がぶどう栽培農家だったため、小さいころから父の仕事の手伝いをしていた。醸造の学校を卒業して1990年、老齢のため半引退となった父の後を継いだ。 引継いだ当時はまだ農協にブドウを売って生計を立てていたが、1996年従兄弟のシュレールの影響でビオの農法に目覚め、再びビオを学ぶために学校に通う。その後マルセル・ダイス、ジェラール・シュレール、トリンバッハ等が集まるビオディナミの勉強会へ参加し、それ以降畑の農法にビオディナミを取り入れる。1999年、父の完全な引退と同時にドメーヌ・ガングランジェを起ち上げ、自らのワインを作り始める。同年、エコセールの認証、そして、2001年にデメテールの認証を取得。

BioWine_sub2 彼の所有する品種は、赤はピノノワール、白はリースリング、ゲヴュルツトラミネール、ピノグリ、ピノブラン、ミュスカ、ピノオーセロワ、シルヴァネールである。畑の仕事にビオディナミを積極的に取り入れ、土壌とブドウの樹にとっての最高のバランスを常に追い求める。ビオディナミはもちろん畑だけではなく、瓶詰タイミングなどの醸造面にもおよぶ。アルザスの伝統大樽「フードル」でワインを仕込み、天然酵母、酸化防止剤も最小限に抑えられた、いわば自然派タイプのワインを作る。


BioWine_sub2

ジャン・フランソワは趣味も楽器以外は「ブドウを育てること」と仕事が半ば趣味になっているような超がつくような真面目な男。90年代前半、父親の畑を引継いだばかりの時期は試行錯誤の連続だったという。当時はまだ普通に除草剤、農薬を使っていた時期で、現在ビオディナミを忠実に行う彼も、それが当たり前だと思っていたそうだ。だが、ブドウの樹の病気の蔓延により、化学農薬が万能ではない、むしろブドウの樹の抵抗力を弱めることに気づき、以降ビオロジックの世界にチャンネルを切りかえた。ビオ農法(ビオディナミ)を取り入れた前後で、どんな違いが見られたか?という質問に対し彼は、「ブドウの樹の根が深くなり、ブドウの房に張りが出てきた」と。ワインの味もビオディナミを取り入れた当時に比べて、現在はワインの青臭さがなくなり、どんなにブドウが熟してもしっかりとした酸が残るようになったそうだ。そして何よりもブドウの樹の病気が少なくなったことに彼は実践の成果を見出している。「ビオディナミをオカルトだと批判する人がいるが、まずは実際に実践してみることだ。実際に明らかな実践結果の違いが見えたから僕は信用せざるを得ない」どうやら彼にとってのビオロジック思考は、哲学からではなく実践から来ているようだ。

BioWine_sub2 アルザスでダントツで人気のあるシュレールと懇意にしている従兄弟ということで彼のワインを飲む前はシュレールスタイルの似ているかと思ったが全く違う。2003年から一部SO2無添加のワインを試作していたが、2012年から本格的にサンスフルのワインスタイルにシフト。ますます進化して旨くなっている彼のワイン。見つけたら是非試してほしい!


ワイン

●AC アルザス・シルヴァネール・サンスフル 2015(白)

2015年からサンスフルに移行!収穫のタイミングは糖度よりも酸を重視し、完全辛口のワインに仕上げるスタイルにシフトした!残糖は1 g/Lと辛口だが、ワインはほんのりとした甘さを感じさせるような優しいエキスのボリュームがあり、同時にジンジャーのようなスパイシーさもある!また、アフターに感じるチョーキーなミネラルも心地よい!中華料理などによく合いそうだ!


●AC アルザス・リースリング・サンスフル 2015(白)

SO2添加のリースリングに対し、こちらはグレ・ローズの混じった粘土質石灰質の土壌だ。特徴は、ガングランジェ曰く、グレ・ローズのテロワールにより、酸やミネラルがダイレクトにワインの味わいに反映されること!また、この畑のリースリングは、リースリングの中でも晩熟のタイプのセレクションマサールが植えられていて、さらに畑が北東に位置することもあり、ブドウが完熟してもアルコール度数はいつも低いそうだ!ちなみに、今回も2015年という天候に恵まれた年にもかかわらず度数は11%!だが実際の味わいは、旨味がしっかりと詰まっていて、長熟さえ予感させるポテンシャルがある!


https://item.rakuten.co.jp/shinkawa/c/0000000451/

Profile

竹之内 一行(たけのうち かずゆき)

竹之内 一行 (たけのうち かずゆき)

1968年10月生まれ 神奈川県出身。横浜商業高校卒後、レストラン&バーでの修業、
1993年約3週間ヨーロッパへ食べ歩きの旅行をきっかけにワインに興味をもつ。
1996年日本ソムリエ協会ワインアドバイザー修得。その後も都内ワインスクールにてテイスティングの勉強を重ねる。2000年再度渡仏の際に教科書やワインスクールでは、知ることができなかった自然派ワインや地元でしか流通していない真のお宝ワインがあることに興味を持ちはじめ毎年渡仏し現地生産者等と交流を深める。現在、父親が始めた酒販店「エスポアしんかわ」代表。都内等ワイン飲食店にワインの卸や初心者のためのワイン講座等も行っている。

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