農家が自分で食べるお米は特別!これ都市伝説です。

2020年9月15日
農家が自分で食べるお米は特別!これ都市伝説です。

先日、ネットで発見したのですが「農家が自分で食べるお米」という商品がありました。商品説明を読むと、少々お米の流通やトレサビリティー法を理解していない人が書いた文章だと推測できる内容でした。
ただ、一般消費者からすると、さぞかしこの表現にはインパクトがあり、効果があるのかなーと思いながら読んでいたのですが、一律に農家さんのイメージを脚色する方法で、購買動機を促す手法はいかがなものかと思い、長年産地訪問をして得た私の経験を元に「農家が食べるものは一番いいもの」という固定概念を払拭させていただきたいと思います。

まずこのサイトで気になった点を指摘させていただきますと、「古米も混ざっていない純粋なお米」、「新潟のお米は生産場所関係なく混ぜられている」との謳い文句です。
農家が出荷するお米は、産地、年産、銘柄、生産者名が記載され、検査官の等級検査を受け検査印が押されます。もし古米を混ぜたことが発覚すると、米トレサビリティー法という法律に抵触するので、見つかれば50万円以下の罰金という罰則があります。
一般販売するときには、食品表示法によって年産の記載義務があるので、年産表示を見ればわかるようになっています(業務用は別)。
違反者には2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金という罰則があります。
仮に、検査を受けていない、ブレンドされている、県の奨励を受けていない品種を一般販売するといった場合は、一律「国内産複数原料米」と「年産」表示は義務とされます。

特別栽培米(減農薬。減化学栽培)でしたらなおさらで、検査を受けた30㎏の米袋で出荷されます。地方によっては、農協に集まったお米が大きなサイロに入れられ混ぜられるカントリーエレベーターというのがありますが、これはこれで、農家ごとに品質のバラつきがあるお米が一定の品質になり、年間を通してお米の味が変化しないというメリットがあります。
農家さんが直接出荷するお米は、田んぼによって、品質のばらつきがあります。工業製品でないお米は、気象条件や栽培環境に左右される農産物なので、仕方のない事と思ってください。

質のいい農産物を市場に出荷した方が消費者に喜んでもらえるという、考えを持っている生産者は、市場軽視はしません。それに手塩をかけて育てた逸品は市場で評価を得られるので、農家さんの自家消費用は、前年の売れ残り(古米)や一番条件の悪い田んぼのお米を食べています。野菜も、低コスト栽培のものを食べていると言っていました。たまたまほったらかしで栽培したことにより、無農薬、無化学肥料栽培になり、規格外の形の悪い生産品を食べているそうです。見方によってはいいものかもしれませんが。

消費者の顔を気にすることが無い生産者はわかりませんが、ほとんどの農家さんは、品質がいい生産品は出荷し、対価を得ています。お米も、特別なお米を食べている農家さんの話は聞いたことがありません。農家が一番いいものを食べているイメージがあるかもしれませんが。実際は一般消費者の方が高品質のものを食べているのです。ただ、それは購入先の選び方によって違ってくる事もお忘れなく。

Profile

金井一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

  • 農家が自分で食べるお米は特別!これ都市伝...

    by 金井 一浩 on 2020年9月15日
    先日、ネットで発見したのですが「農家が自分で食べるお米」という商品がありました。商品説明を読むと、少々お米の流通やトレサビリティー法を理解していない人が書いた文章だと推測できる内容でした。 ただ、
  • スイスアーミーナイフの爪切り

    by 中村 滋 on 2020年9月 9日
    爪切りは常時携帯しています。楽器弾きは爪の手入れが欠かせないので、弦を押さえる指の爪や割れた爪の手入れをします。バッグに入れるので薄く軽くは当然ですが、なかなかいい物がありません。刃の動きがゆっくり
  • まちでさいごのようせいをみたおまわりさん...

    by 冨樫 チト on 2020年8月28日
    MAIN TENTの隣にはマンションのゴミ置き場がある。先日、そこに一匹の若いネズミが、息絶えていた。周りを見回すと、隣の民家の配電盤に齧られたあとがあった。もしかしたら、感電したのかもしれない
  • 自然派ワイン(ナチュラルワイン)が楽しめ...

    by 竹之内 一行 on 2020年8月 7日
    鮨 おとわ(横浜市青葉区) 横浜市青葉区のこどもの国に程近い閑静な住宅街の一軒家で驚く程のクオリティのお寿司屋さんがある。店名は「鮨 おとわ」。最寄り駅からも徒歩で10分以上、周囲に他のお店も見当
  • 種に知的財産権は必要なのか?

    by 金井 一浩 on 2020年7月15日
    少し前にSNS上で種苗法改正に伴う賛否がありました。法案は継続審議となりましたが、その法案を読み込むと、いま日本の置かれている種の現状が見えてきます。映画や音楽、書籍なとは知財権が守られています
  • 強撥水、耐風、自動開閉を1本で

    by 中村 滋 on 2020年7月 8日
    畳んだ傘を一振りして水滴を飛ばし、車、バス、電車にそのまま持ち込む‥‥は実に便利です。古くは福井のヌレンザ、台湾のフォーモサタフタがあります。ナノコーティングした生地が水を弾きます。数年前から台
  • エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする

    by 冨樫 チト on 2020年6月30日
    小さい頃の夢はいくつかあった。一つは外部からエネルギーをうけることなく永久に動き続ける機械「永久機関」を作り出すこと。もう一つは「夢を録画出来る機械」をつくることだ。「永久機関」は(もっともそう呼
  • 自然派ワイン(ナチュラルワイン)が楽...

    by 竹之内 一行 on 2020年5月29日
    76vin(根津) レトロでお洒落な下町風情たっぷりの谷根千。谷中銀座商店や根津神社、情緒ある喫茶、たい焼き屋さん、行列のできるかき氷屋さん等々・・。デートスポットとしても人気の高いこのエリアにナ
  • こんな時期だからこそ"免疫力"を考える

    by 金井 一浩 on 2020年5月15日
    武漢発症のコロナウイルスは世界を混沌とさせ、日常という営みを根本から奪い去り、不安と恐怖を人類に突き付けました。そもそも人類と疫病の歴史は古く、奈良の大仏が建造された理由を考えると、今とは違う疫
  • ヴァイオリンが絡むイタリアンミステリー

    by 中村 滋 on 2020年5月11日
    ヴァイオリンの名機といえばストラディバリウスですが、触ったことがあります。アメリカに住む従姉妹がヴァイオリニストで、一番いい時期のものを持っていて、あのカリフォルニア地震の時に「ママは私より先に楽
  • たのしい世界の国旗絵本

    by 冨樫チト on 2020年4月28日
    さあこの一大騒動勿論絵本の古本屋MAIN TENTも大変なことになっております悪あがき大作戦と題し絵本の選書サービスを始めたのですがこれがなかなかに難しくそして面白い4000冊の在庫からオーダーに
  • 自然派ワイン(ナチュラルワイン)が楽し...

    by 竹之内 一行 on 2020年3月27日
    winestand waltz(ワインスタンド ワルツ) (恵比寿) JR恵比寿駅の東口から徒歩9分程の路地裏からさらに遊歩道沿いにひっそりと佇む4坪の小さなワインバー。カウンターのみでスタン
  • コロナウイルスから学ぶ食の安全性

    by 金井 一浩 on 2020年3月15日
    もともと自然界には、未知のウイルスや細菌がたくさん存在し、未だ90%は解明されていないといわれています。ルイ・パスツールが白鳥の首フラスコによって微生物の存在を証明したのが、たかが150年ほど前の
  • 小さくとも進化し続ける文房具その1

    by 中村 滋 on 2020年3月 9日
    プリントした資料や楽譜は2穴ファイルでまとめています。順番が狂いませんし、文字を書き込めるからです。ただし、穴あけが必要で順番変更も面倒。クリアファイルは汚れずいいのですが、反射して見にくく、これも
  • いえのなかを外へつれだしたおじいさん

    by 冨樫 チト on 2020年2月26日
    アーノルド・ローベル 作奥田継夫 訳アリス館 ご存知の通り絵本の古本屋MAIN TENTはごちゃごちゃしているお店には4000を超える絵本が所狭しとひしめきあい床には太鼓が1.2.3.4...5個
  • 自然派ワイン(ナチュラルワイン)が楽し...

    by 竹之内 一行 on 2020年1月28日
    イタリア料理 樋渡 (芝公園) 芝公園の程近くの小さな路地裏にひっそりとたたずむ「イタリア料理 樋渡」。 表札といった方がいいような小さな木に店名「樋渡」と控えめに記されたちいさな看板。 素朴な
  • 2020年、消費増税ともう一つの問題

    by 金井 一浩 on 2020年1月15日
    あけましておめでとうございます。本年も「お米と暮らし」ヘッセ武蔵野Webマガジンよろしくお願いいたします。さて昨年10月、消費税が8%から10%に引き上げられました。ただ今までと違うのは軽減税率の
  • 代替品を選択するという意思表示

    by 中村 滋 on 2020年1月 7日
    トップの呆れる行為、不祥事に対してのペナルティーは、政治家なら選挙があり、役人は出世に影響します。厄介なのは法曹関係者、中でも裁判官です。社会の良識とかけ離れた、いわゆる世間知らずの判決を見ると、判
  • ゆきになったくまさん

    by 冨樫 チト on 2019年12月26日
    まだ僕がちいさいころ僕の掛け布団のカバーにはキキララのような男の子と女の子のイラストが描かれていたキキララと違うのはキキララがお互い正面を向いているのに対しその二人はお互いが向き合って寄り添い
  • 自然派ワイン(ナチュラルワイン)が楽し...

    by 竹之内 一行 on 2019年11月28日
    リベルタン(渋谷) 渋谷駅から明治通りを宮下公園(現在工事中)沿いに原宿の方へ進むみキャットストリートを入ってすぐのピンクドラゴンを右に入った小さな路地裏にあるビストロ。 シェフの紫藤さんは24歳
1

Homeに戻る