つながっている森と田んぼ

2018年1月15日
つながっている森と田んぼ

今年、お米の消費量と生産量を調整していた「減反政策」が廃止されます。それによってお米を作る量は生産者にゆだねられることになりました。

だからと言ってやみくもに作ると供給過剰になり米価は下落し農家は減収といった弊害も出てきます。よって一般栽培したお米を飼料用に転用すると助成金がもらえる救済制度を活用する農家が増えてきました。年々日本人のお米の消費量が減っている中、生産者の高齢化も進んでいる現在ではすでに生産調整する意味がないのかもしれません。

ただ一つ気になるのは、北海道のように大量生産が可能で大規模農業が盛んな場所と、中山間地で機械化が進みにくい、小さなたんぼが点々としている新潟県魚沼地方のような小規模農業とでは生産効率の格差が生まれます。 ボクシングで言えばヘビー級とフライ級のようなもので条件の違うもの通しが同じリング上で混在しているのが農業です。この理不尽な現状が現在の日本の農業を高齢化させ、発展を阻害させているように感じます。

そんな大規模でも小規模でもどちらも必ず必要になるのが水源です。
その水を生み出すのは健康な森林で、雨水をろ過し田んぼに豊かな水を届けるまでに300年〜500年かかるそうです。よって山から染み出た水が集まり川となって田んぼに流れ着く水は数百年前の雨という事になります。ちなみに私たちが普段使っている水も同じ。
水稲栽培は毎年同じ場所で同じ物が栽培でき、水を滞留させ、ゆっくり地下へ浸透するダムの効果もあります。 昔の人は田んぼに治水効果をもたせ洪水を防ぐ知恵を知っていたのだと思います。地図で様々な地域の河川を見ると河を中心に田んぼがその周りを囲んでいるように見えます。そして田んぼに深く張った水が抜けないよう土手を作り、稲の生育にムラができないようすべて地面と平行に均します。
日本の土木技術もここから来ていると言われていて、古墳の技術はまさにこれの応用だそうです。今は農業と林業が分かれていますが、森が水を育む事を知っていた先人たちは農業の傍ら森に入り木を間引きするという林業も同時に行っていたそうです。その名残を山間にある小さな田んぼが物語っていると思います。
最近、地滑りや洪水といった天災が多くなってきたように感じますが、実は山の整備や、田んぼのフル活用が防災につながるのです。

日本の伝統食文化は防災と直結しているのだと知れば、お米を食べる量が今以上に増え社会貢献になるのだと思います。

Profile

金井一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

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