〜新米を賢く食す〜
第3回 食べ方

2013年11月28日
新米

秋は美味しい食材が多いい、食欲の秋とはよく言ったものだ。特に収穫期を迎えたお米は一年の幕開けである。
しかしここで勘違いしてはいけないのが新米なだけにはまだまだ半人前、扱いが難しい。だから余計にいい状態に炊き上げたい。そんな事を考えながら今年の新米を炊くことにする。

まず炊飯器に備え付けられている計量カップで新米をすくい、正確に擦り切りで計量する。最初の水でサッとお米の表面に付いている汚れを洗米しその水をすばやく捨てる。
あとは米粒を砕かないようやさしく洗米。水の濁りが透明に変わる頃、水加減を決める。
水は最初から軟水を使うとツヤと粘りを際立たせることが出来る。
ここで気を付けたいのは、収穫から間もない新米は水分量が多いいと言うこと。よって水加減は少な目で様子を伺う。
芯までふっくら炊き上げるため最低でも30分〜2時間以上は浸水させたい。タイマーを4時間後の炊き上げにセットする。
炊き上がった炊飯器の蓋を空けると米粒が縦に並んでいる。米が立つとはこのことかと思いながら粒感を損なわないようしゃもじで満遍なく攪拌する。
これは釜の形状による熱伝導の炊きムラを均一にするためでもある。蒸らし機能が付いていても余分な蒸気を逃がすのがコツ。
気が付くと新米の香りが辺り一面に広がり湯気の多さがミズミズしさを連想させる。
あせる気持ちを抑えつつ10分ほど蒸らす。炊飯器の蓋を再び開けると米粒のツヤが格段に増している。潰れないよう裂くようにしゃもじを釜に入れ優しく空気のように茶碗に盛る。
炊きたての新米を一口、上品な香りと絶妙な粒感が口の中で広がり咀嚼するたびに甘味が増す。思わず「おかずがいらない」と心の中でつぶやいてしまう。

ちょっと小説っぽく書いてみましたがイメージできましたでしょうか。実はこの文章には賢い炊き方が凝縮されています。お米の品種によって粘りや硬さなどの性質が異なりますが、素材の力を引き出すのは炊き方次第と言っても過言ではありません。ちょっといいお寿司屋さんを連想してください。ザル上げし、浸水させず炊き上げるお店がほとんどだと思います。これは余分な粘りを抑える炊き方です。

多くは古米、それか粘りが少ない品種を好むと思いますので、普通に食べると芯がありボソボソするはずです。しかしその方が寿司酢をシャリに合せた時、適度な粘りと弾力が備わり絶妙なネタとのバランスになるのです。このように加減でいかようにでも出来るのがプロだと思います。ただ家庭でもプロ並みに炊けるポイントがあります。それは軟水を使い、ゴシゴシと研がない、水加減に気を付け、しっかり浸水に時間をかける。これだけです。分搗き米と玄米の場合は研ぐと大事な栄養素が流れてしまうのでサッと洗う程度で大丈夫です、無洗米みたいな物ですね。

そしてお米は種であり澱粉です、片栗粉と同じ原理だと思ってください。火力と熱伝道率そして蒸らしがお米の粒感と粘りを際立たせます。炊飯器を新しくする時はこの観点から選ぶといいでしょう。ただ、美味しく楽しく食べるに越した事はありませんが、毎日の食事が健康な体を作ります。
生活習慣病にならないためにも舌先より体を一番に考えた食生活で体調に留意する事も忘れずに。

Profile

金井一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

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