〜新米を賢く食す〜
第2回 賢い選び方

2013年10月16日
新米

「特Aランク米」とは、毎年新米が出揃う時期に、日本穀物検定協会が各生産地の品種に食味のランクを付ける評語のことです。

さて今年はいったい何処のお米が特Aに選ばれるのでしょうか。と、言いつつ実は、私はこの評価を毎年見ていないのです。穀検さんごめんなさい。その理由の一つに「どまんなか」という山形県の銘柄米があります。「栽培が難しく今では当店と八王子の米屋さんにしか出荷していない」と農家さん。よってランキングには当然出てきません。ただ当店では昔から人気のお米です。このようなランキングに載っていないけれど、評価されるべきお米は他にも結構あります。大切なことは、そのお米を何処で誰がどう栽培したかだと思います。一括りに「コシヒカリ」といっても、生産地、栽培、生産者によってぜんぜん違うお米になるのです。銘柄だけが味の決め手ではないという事を念頭に賢いお米の選び方を教えます。

以前、米屋仲間20名前後で毎月1回1年通して「食味官能実験」を行いました。これは、計量から炊き上げまでの工程を全て同じ条件で調理し、3種類の銘柄米をブラインドで試食するというものです。甘味、粘り、歯ごたえや香り、つやなどの項目を10段階評価で採点しました。トータル約30種類の銘柄米を試験しましたが、まあ見事に評価はバラバラでした。詳細は企業秘密なので申し上げられませんが、中には上限下限の開きが7段階もある銘柄米もありました。生産地・品種・生産者・栽培方法・天候・田植え時期・刈り取り時期・乾燥・保存・精米方法・炊飯方法・水質・洗米方法・浸水量・浸水時間・水加減・炊き方・蒸らし・拡飯・保温時間・盛り方と、これだけの総合的要因が同じでも感じ方が十人十色なのです。

「美味しい」の言い方を変えると「好み」です。ただどのように「好み」が形成されるかが重要で、「自分の出身地」ないし「幼少期に実家で食べていたお米」の記憶を基準に考える事が適切だと思います。三つ子の魂百までと言われるように、人の味覚は幼少期に形成されると脳科学でも立証されています。

命を育む大切な営みの食事ですから日常の安心感が「お袋の味」という記憶になるのでしょう。よって出汁や味噌のように、お米も地域性が色濃く出ます。ちなみにここまでは白米の話。健康を考えれば、分づき米(3分づき、5分づきなど玄米の糠をわざと少し残して精米したもの)や、玄米がお勧めです。特に有機質のコクと香りを感じる減農薬や無農薬栽培を選ぶといいですね。白米より炊き上がりが硬質になるため良く咀嚼します。そうすると消化吸収酵素のアミラーゼとリパーゼの作用が強くなり胚芽や表層に含まれるミネラルやビタミンが吸収され免疫力が高まるのと、胚芽に含まれる抑制性アミノ酸のギャバが脳の安定を促すと言われています。胚芽に農薬が残ると言われる事もありますがこれは先入観です。外国産米みたいに収穫後や輸送時に農薬を使えば別ですが国内産のお米ではありえません。農薬分析結果でもしっかり検証されています。安心して分づき米や玄米を選んでいいでしょう。そして安価な物は別ですが適正な価格帯の銘柄米であれば失敗する事はまずありません。特に新米時期は少量をいろいろ購入し食べ比べてみるのもいいですね。食感の特徴を引き出すブレンド米もお勧めですよ。

さて、次回はそのお米を賢く食べる方法をお伝えいたします。

Profile

金井一浩(かない かずひろ)

金井一浩(かないかずひろ)

吉祥寺生まれ吉祥寺育ち。
高校卒業後、大学に進学せず1990年証券会社へ入社しバブル崩壊を肌で経験。阪神淡路大震災の時に感じた利益優先のマーケットに疑問を感じこの年に退社。フリーター業で生計を立てるも、規制緩和の時代変化に対応できていない実家の米屋に危機感を覚え家業を継ぐことに。その後、お客さんに目が向いていないお米業界の古い体質や流通から脱するために1年半の通信教育を経て業界で一番難しいといされる「お米アドバイザー」を取得、後に第1回環境社会検定試験に合格し、フード&ヘルス研究所主催の小児食生活アドバイザーに認定される。単に美味しさだけではなく環境や健康も考えた生活の中のお米選びをお客様に提案し提供している。現在では本業の他に業界の若い世代が集まる「和日米会」の会長を務め、「フリースクール上田学園」にて日本食文化の講師を担当する。

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