ぴちぴちカイサとクリスマスのひみつ

2017年11月30日
「ぴちぴちカイサとクリスマスのひみつ」

さあ
今年もホリデーシーズンがやってきた
ぼんやりと外の雨を眺める日々も終わり
年に一度の絵本屋の張り切り時
一年間ためた200冊あまりのクリスマスの絵本を一度に放流する
今年はなかなか楽しい絵本を捕獲した
沼の主みたいに滅多に姿を現さない存在
しかも普通の絵本より少し小さめのサイズで
ちょいと目を離すとすぐ
岩陰に隠れてしまう
その名も
「ぴちぴちカイサとクリスマスのひみつ」
作者はピッピやロッタちゃん、やかまし村など
小さな子どもたちを描く天才
アストリッド・リンドグレーン
それらの挿絵を担うヴィークランド
訳 山内清子
偕成社
1977年初版

素敵な表紙でしょう
怪我したおばあちゃんの代わりにクリスマスの飴を売っている赤い手袋の女の子
この子がカイサ
お釣りの関係で銀色の50ヨーレ硬貨しか受け付けていません
早速中を覗くおチビちゃん
更にそれをチロリと赤い舌を出して待つ黒犬
お使いでツリーを買いに来た女の子も
余ったお金で飴を買おうか思惑中
何せおばあちゃんの作った飴はこの辺りじゃ一番
ポイントはほどよい甘さ
お店は大盛況
「かさじぞう」とはえらい違いです

カイサは生後3か月の頃
おばあちゃんの小さな小さな可愛らしい家の前にかごにねかされおいていかれたこ
生後3か月
おばあさんの話ではすでにぴちぴちしていたそうです
寝返りをコロコロしだし
笑い声も大きくなりだすあの頃
可愛くて可愛くて仕方ないだろうに
やむを得ない理由があったのだろうな
きっとおばあちゃんが戸を開け
赤ちゃんを発見するまで
母親は物陰でじっと見ていたのだろうな
そんなことを考えながら本をひらくと...
大丈夫
カイサはぴちぴちと大きくなって
今は7才近く
おばあさんと2人で日々をちゃんと生きています
今日も小さな可愛らしい家の
玄関の階段に座っています
(人はもちろんですが、僕はヴィークランドが描く家や室内が大好きです。光と影、ランプや日の光が届く明るい場所と、それが届かないひっそり静かな場所の描き方がすごく素敵なのです。山小屋などの天井のあの少し暗くすすけた感じ、あれを描く方です)
おばあちゃんが怪我をしているから
クリスマスプレゼントはどうなるのかな
大丈夫
おばあちゃんはちゃんとカイサが欲しがっていたアレを
スーデルンドさんのお店に取り置きしてあります
「ひみつ」と書かれた手紙を手に
「ひみつ」の何かを受け取りに行くカイサ
お店で待つカイサ
(この絵が最高です)
プレゼントの入った箱
中がアレだったらいいな
おばあさんと2人で歩きながらいつも眺めていたあのお人形
大丈夫
クリスマスの絵本
ハッピーエンドに決まっています
クリスマスはみんなのもとにちゃんとやって来るのです
年齢より少ししっかりしていて
年齢通りちゃんと未熟
みんなが幸せな気分になるクリスマス
その幸せで特別な気分を
絵とお話しに閉じ込めた
このお話しを知っているってだけで少し
しあわせな気分になる大切な一冊
「ぴちぴちカイサとクリスマスのひみつ」
フランソワ・バチスト氏がご紹介いたしました
そうそう
カイサが自分だけプレゼントをもらったと思いますか?
おばあさんは?
そう
クリスマスは
みんなのもとにやってくるのです

Profile

冨樫 チト(とがし ちと)

冨樫 チト (とがし ちと)

本名である。フランス童話「みどりのゆび」のチト少年にちなんで両親から命名される。富士の裾野の大自然の中、植物画と読書と空想の幼少期を過ごす。
早稲田大学在学時よりプロダンサーとしての活動を開始。
舞台演出、振付け、インストラクター、バックダンサーなど、踊りに関わる全てに携わる傍ら、持ち前の遊び心で、空間演出、デザイナー、リゾートホテルのライブラリーの選書、壁画の製作、ライブペイントによる3Dトリックアートの製作など、無数のわらじを履く。
2015年2月、フランソワ・バチスト氏として、住まいのある吉祥寺に絵本児童書専門古書店、「MAIN TENT」をオープン。
氏の部屋をそのまま移動させた小さな絵本屋から、エンターテインメントを発信している。

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