赤ひげのとしがみさま

2016年12月27日
「赤ひげのとしがみさま」

クリスマスに素敵な本が溢れるのは当然として

モチロンお正月にだってちゃーんと素敵な本が控えています

その一つがこれ

「赤ひげのとしがみさま」
ファリードファルジャーム/ミームアザード 作
ファルシードメスガーリー 絵
さくらだまさこ/いのくまようこ 訳

舌を噛まずに言えた方には金貨を一枚

こちらイランの作家さんによる

おばあさんの淡い恋心を描いた作品

表紙の赤ひげのホリの深い無表情な紳士

こちらがとしがみさま

年に一度

春の最初の日におばあさんのお宅へやって来なさる

「このおじさんは、だれでしょう。

そうです。

としがみさまですね。」

最初の一文から中々のインパクトです

「毎年、春になると、こんなかっこうをして、まちへやってきました。」

「こんなかっこう」はコラージュで紙や布など

あちらの国のものをふんだんに使って表現されていて

あまり親しみのない中東の衣装の質感や花の色などが伝わってきます

おばあさんはとしがみさまのことが大好きで

毎年としがみさまを迎えるために朝からせっせと準備をします

日本であればしめかざりや門松

鏡餅におせち

きれいな着物

こういったとしがみさまさまを迎える習慣が

中東になるとどうなるのでしょう

まず基本は敷物です

素材は絹

銀色のフチの鏡

水タバコ(底には花びらをいれます!)

お香

Sのかしら文字のつく贈り物7つ

7種のおかし

それらを敷物の上に並べ

つむぎの服ににしきのチョッキを着たおばあさんがその上に座ります

さあ

準備完了

けれどもとしがみさまは神様

夢の中でしか逢えません

としがみさまがやってくる頃になると不思議と眠気がやって来て...

ここからのとしがみさま

赤ひげの紳士の振る舞いがなんともジェントルマンで素敵で

まずカミツレ草の花を庭から一本つんで

おばあさんの頭にそっとかざります

そしておばあさんが朝から用意したおそなえものを少しずつ頂き(半分しか食べません。半分はおばあさんに残しておいてあげるのです!)

一休みした後

街へお正月を運びに行くのです

目覚めたおばあさんは

ああ今年もとしがみさまに逢えなかった

来年こそは...

と遠い目をするのです

使われた布や紙

聞き慣れぬ品物の名前に

異国の雰囲気をたっぷりと味わえます

一人暮らしのおばあさんのくるくる変わる表情には彼女の

名女優ぶりを感じさせずにはいられません

それがとしがみさまの無表情さと対比されて尚更素敵です

2人の名役者によって展開される

隠れた名作

「赤ひげのとしがみさま」

フランソワバチスト氏がご紹介致しました

Profile

冨樫 チト(とがし ちと)

冨樫 チト (とがし ちと)

本名である。フランス童話「みどりのゆび」のチト少年にちなんで両親から命名される。富士の裾野の大自然の中、植物画と読書と空想の幼少期を過ごす。
早稲田大学在学時よりプロダンサーとしての活動を開始。
舞台演出、振付け、インストラクター、バックダンサーなど、踊りに関わる全てに携わる傍ら、持ち前の遊び心で、空間演出、デザイナー、リゾートホテルのライブラリーの選書、壁画の製作、ライブペイントによる3Dトリックアートの製作など、無数のわらじを履く。
2015年2月、フランソワ・バチスト氏として、住まいのある吉祥寺に絵本児童書専門古書店、「MAIN TENT」をオープン。
氏の部屋をそのまま移動させた小さな絵本屋から、エンターテインメントを発信している。

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